マヴィックのアルチメイトといえば、ライトウェイトと並ぶ”スペシャルなホイール”でした。年によって、ライトウェイトのほうがよく走るときもあれば、アルチメイトが優位に立つときもありましたが、いずれにせよそれらは「ロードホイール界の王者」として機材好きをドキドキさせたものでした。

エアロ&ディスクの時代になり、いつしかそれらの存在感が薄れてしまいました。この前ライトウェイトでライドに行ったら、仲間に「おぉ懐かしいねぇ」なんて言われる始末。冗談抜きで「あのホイールは今」状態です。

特殊構造ホイールといえど安全性と耐久性を軽視できなくなった。
ディスク化に伴って高剛性化の優位性が小さくなった。
極端な軽量化が難しくなった。
そういう要因が複雑にからみあった結果でしょう。

それらの一翼、アルチメイトがリニューアルすると聞き、マヴィックの展示会へ。
何年も前から「もうすぐ出るよ、もうすぐだよ」と言われ続け、幻となりつつあった1本です。
以前のようにリムまで完全独自設計ではなくなり、リムはコスミックSLR45と共通に。ライトウェイトのようにスポークをリム内壁に接着するという凝った構造でもないようですが、コスミックSLR同様、アルミインサートを用いてカーボンスポークをリムに接合しているようです。

正式名称はマヴィック・コスミック アルチメイトUST 45ディスク。タイヤベッドにスポークホールが開かないのでリムテープは不要。よってカタログスペックより重量的な優位性はある。(画像提供/マヴィック・ジャパン)

ディスク仕様のUST(チューブレス)で1,255g。今や数字としては驚くべきものではありませんが、マヴィックが目指したのは「突出した性能」ではなく「あくまでバランス」とのこと。
製造はアジアではなく、サン・トリヴィエ・シュル・モワナンにあるリム工場でもなく、アヌシーにある本社開発棟の一角だとか。
以前本社に行ったときはプロト試作や製造プロセス構築を行っている隣で、職人がコメットを黙々と作ってましたが、おそらくそういうスペシャルセクションでしょう。

注目は価格。52万8,000円。高いですが、ここまで値上げラッシュの中、特殊構造モノとしては安い。たぶんすぐ値段上げされるでしょう。

いろいろと面白い話を聞いてきましたが、試乗記事のためにとっておきます。

(安井)

(画像提供/マヴィック・ジャパン)