メッセンジャー狂時代(Vol.01)
2000年代、東京。ロードバイクを中心とするスポーツ自転車がブームになりつつあるなかで、もうひとつの自転車カルチャーが注目を浴びつつあった。自転車で荷物を運搬するメッセンジャーである。”自転車便”といういち職業でありながら世界的なムーブメントにもなった当時のリアルを、自身もメッセンジャーとして都内を駆け巡った経歴を持つBambiこと南 秀治が綴る。
2020.11.02
続・メッセンジャー狂時代
この先も、あの合言葉を
2023年9月20日から25日にかけて、横浜でCMWCことCycle Messenger World Championships(サイクルメッセンジャー世界大会)が開催された。日本でのCMWCは2009年の東京大会に続いて2度目となる。第1回が行われた当時は国内のメッセンジャーブームがひとつの到達点を迎えた時期であり、その熱気とビハインド・ザ・シーンは、La routeの連載「メッセンジャー狂時代」でも詳述した。今回はその連載の続編として、BAMBIこと南 秀治が現地に赴き再び筆をとる。あのメッセンジャー狂時代から約15年。メッセンジャーたちが代替わりし、彼らを取り巻く状況も大きく変化したなかで行われたCMWC横浜で彼が見て、感じたものとは。
メッセンジャー。それは自転車による緊急配送請負人。
2000年代初頭、自由なスタイルで街を駆け抜ける姿に憧れて飛び込んだその仕事は、自分仕様の愛車とメッセンジャーバッグで、最速で荷物を届けるというシンプルな業務と、ピストバイクで街を走る楽しさを教えてくれた。また会社どころか国境を越えて世界中に繋がるコミュニティがあり、仕事の時間外でも業務を模したレースをしたりと、それはもはや職業というよりライフスタイルとでも言うべきもの。別れ際の挨拶が「また街で!」なんてところにもワクワクしたものだ。
ピストブームが盛り上がり、並行してメッセンジャーカルチャーの認知度も上がる中、僕自身もCMWC(Cycle Messenger World Championship/メッセンジャーの世界大会)に3度出場し、自分の世界をより広げることができた。一方で、リーマンショックや3.11などを経験し、変化する物流と通信事業の煽りを受けて年々悪化していく懐事情の中、それでも踏ん張った7年はかけがえのない日々だった(そのあたりのエピソードはぜひ、以前の「メッセンジャー狂時代」で読んでいただきたい)。
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2000年代、東京。ロードバイクを中心とするスポーツ自転車がブームになりつつあるなかで、もうひとつの自転車カルチャーが注目を浴びつつあった。自転車で荷物を運搬するメッセンジャーである。”自転車便”といういち職業でありながら世界的なムーブメントにもなった当時のリアルを、自身もメッセンジャーとして都内を駆け巡った経歴を持つBambiこと南 秀治が綴る。
2020.11.02
2000年代、東京。ロードバイクを中心とするスポーツ自転車がブームになりつつあるなかで、もうひとつの自転車カルチャーが注目を浴びつつあった。自転車で荷物を運搬するメッセンジャーである。“自転車便”といういち職業でありながら世界的なムーブメントにもなった当時のリアルを、自身もメッセンジャーとして都内を駆け巡った経歴を持つBambiこと南 秀治が綴る。第2回目はT-servからCyclexへの移籍と、“SINO”との出会いについて。
2021.01.25
2000年代、東京。ロードバイクを中心とするスポーツ自転車がブームになりつつあるなかで、もうひとつの自転車カルチャーが注目を浴びつつあった。自転車で荷物を運搬するメッセンジャーである。“自転車便”といういち職業でありながら世界的なムーブメントにもなった当時のリアルを、自身もメッセンジャーとして都内を駆け巡った経歴を持つBambiこと南 秀治が綴る。連載第3回はアジア人で初めてCMWCの世界チャンピオンになったSINO、そして異常なほどに盛り上がるピストブームについて。
2021.02.15
2000年代、東京。スポーツサイクルブームが過熱しつつあるなかで、もうひとつの自転車カルチャーが注目を浴びつつあった。自転車で荷物を運搬するメッセンジャーである。世界的なムーブメントにもなった当時のリアルを、自身もメッセンジャーとして都内を駆け巡った経歴を持つBambiこと南 秀治が綴る。連載最終回は、リーマンショック、3.11、そしてメッセンジャーブームの終焉について——。
2021.03.15
ライディングスタイルと同様に多様化する「自転車にまつわる働き方」にスポットをあて、好きを仕事にした様々な自転車人にインタビューする連載企画「自転車で食べていく」。記念すべき第 1 回は 2013 年にスタートした、国内における自転車メンテナンス専門店のはしりともいうべき「EFFECT」のオーナーメカニック、日比谷篤史さんにお話を伺った。
2021.12.13
3月末に敢行した2泊3日のLa route新潟取材。それは自転車業界におけるメイド・イン・ジャパンの真髄に迫る旅でもあった。先日公開したヨネックス・カーボネックスSLDの開発譚に続き、今回はものづくりの街・燕三条で、およそ90年にわたって金属加工業を営んでいる相場産業の4代目・相場健一郎さんのインタビューをお届けする。思いがけず25歳の若さで家業を継ぐことになった経緯から、2011年に立ち上げたトラックバイク専用工具ブランド「RUNWELL」の生い立ちと今後の展望を聞きながら、“Absolutely Made in Japan”を掲げてものづくりを続ける相場さんの歩みに迫った。
2023.07.17
相場産業の工具ブランド「RUNWELL」の生い立ちをお聞きした後は、もちろん工場見学である。相場産業は、1935年に燕三条に創業し、今でもこの地で金属加工を続けている。なぜ燕三条という地域は「金属加工のメッカ」となったのか。そこで、RUNWELLの工具はどのようにして作られているのか。なぜ工具は鍛造でなければならないのか。熱間鍛造の轟音と熱気をBGMに、単なる鉄の丸棒が世にも美しい工具へと変貌する様を、楽しんでいただきたい。
2023.07.17
年齢も性格もビジネスの形態も使う素材も考え方も違う。しかし日本のオーダーフレーム界を背負って立つという点では同じ。そんな4人のフレームビルダーが、各々のフレームを持ってLa routeの編集部に集まってくれた。金属フレームの可能性について、オーダーフレームの意味について、業界の未来について、モノづくりについて、忌憚なく語り合うために。その会話の全記録。
2020.04.24
年齢も性格もビジネスの形態も使う素材も考え方も違う。しかし日本のオーダーフレーム界を背負って立つという点では同じ。そんな4人のフレームビルダーが、各々のフレームを持ってラ・ルートの編集部に集まってくれた。金属フレームの可能性について、オーダーフレームの意味について、業界の未来について、モノづくりについて、忌憚なく語り合うために。その会話の全記録。
2020.04.24
テキサス州の州都、オースティン。ライブミュージックの街としても知られるこの地に、「Tomii Cycles」というブランドを立ち上げた日本人フレームビルダー冨井 直がいる。現代アーティストを目指して1998年に渡米した彼は、なぜ2011年に自身のフレームブランドを立ち上げることになったのか。自転車との邂逅、彼の地でのKualis cycles西川喜行さんとの出会い、そしてフレームづくりへのこだわり――。かねてから親交のあるフォトグラファー田辺信彦が現地でインタビューを行い、冨井 直の素顔に迫る。
2022.05.09
2023年5月、「非公式」を謳いながらブランド名を冠した不思議なライドイベントが、京都で行われた。「ラファ・ジェントルマンズレース京都2023トレース “アンオフィシャル”」というそれは、10年前に同地で行われたイベントを有志たちがオマージュし再構成したものだ。当時はラファの社員として運営に携わり、今回はひとりのライダー(そしてフリーランスライター)としてこのライドを走った小俣雄風太が、この10年でロードサイクリングにもたらされた変化と、今回のイベントの意義について考える。
2023.05.29
2004年、イギリスで誕生した「ラファ」。多くの人にとってラファはサイクルウェアブランドの1つというイメージが強いかもしれないが、それはラファがもつ表層の一部でしかない。ではラファとは、いったい何なのか。ラファが日本国内の自転車文化にもたらしたものは、いったい何だったのか。2021年に創業者であるサイモン・モットラム氏がCEOから退任し、そして矢野大介氏がラファジャパンの代表から退いたこのタイミングで、改めてラファというブランドの足跡と本質を探ってみたい。
2022.11.14
「スペック」や「速さ」が重視されるスポーツ自転車において、「ゆるさ」という何の数値化もできない性能で瞬く間に世を席巻した、1998年創業の自転車メーカー「SURLY」。2006年から幾度となく彼らの本拠地ミネソタに足を運んだ自転車ライター山本修二が、今までほとんど語られることのなかったSURLYのすべてをお伝えする。連載第一回目は、SURLYとの出会いと彼らがもつ魅力について。
2020.07.06
大阪府堺市にあるフレームブランド「コーナー」。主宰するのはかつてLa routeでも行ったフレームビルダー座談会にも参加してもらった、33歳の寒川勝一さんである。これまで彼はロードバイクはもちろん、グラベルロードやマウンテンバイク、実用的な軽快車などジャンルレスで多彩なバイクを製作してきた。しかしそこに一貫してあるのは「寒川さんらしさ」である。連載企画「若者たちの肖像」の第5回は、そんな若きフレームビルダーの紆余曲折な自転車人生に迫る。
2022.07.04
「スペック」や「速さ」が重視されるスポーツ自転車において、「ゆるさ」という何の数値化もできない性能で瞬く間に世を席巻した、1998年創業の自転車メーカー「SURLY」。2006年から幾度となく彼らの本拠地ミネソタに足を運んだ自転車ライター山本修二が、今までほとんど語られることのなかったSURLYのすべてをお伝えする。連載第2回は、SURLY誕生のルーツとものづくりの設計思想について。
2020.08.10
「スペック」や「速さ」が重視されるスポーツ自転車において、「ゆるさ」という何の数値化もできない性能で瞬く間に世を席巻した、1998年創業の自転車メーカー「SURLY」。2006年から幾度となく彼らの本拠地ミネソタに足を運んだ自転車ライター山本修二が、今までほとんど語られることのなかったSURLYのすべてをお伝えする。連載第3回は、旅とSURLYの関係性について。
2020.10.19
「スペック」や「速さ」が重視されるスポーツ自転車において、「ゆるさ」という何の数値化もできない性能で瞬く間に世を席巻した、1998年創業の自転車メーカー「SURLY」。2006年から幾度となく彼らの本拠地ミネソタに足を運んだ自転車ライター山本修二が、今までほとんど語られることのなかったSURLYのすべてをお伝えする。連載第4回は、SULRYの代名詞のひとつであるファットバイクのルーツや開発秘話をお届けする。
2020.12.21
「スペック」や「速さ」が重視されるスポーツ自転車において、「ゆるさ」という何の数値化もできない性能で瞬く間に世を席巻した、1998年創業の自転車メーカー「SURLY」。2006年から幾度となく彼らの本拠地ミネソタに足を運んだ自転車ライター山本修二が、今までほとんど語られることのなかったSURLYのすべてをお伝えする。連載第5回は、完成車ブランドではなく“パーツブランドとしてのSURLY”に着目し、彼らがこれまで生み出してきた数々のパーツにスポットをあてる。
2021.04.12
ディープな記事を数多投下してきたLa routeがあえてお届けする、ロードバイクの入門連載企画。その名も「ロードバイクのキホンのキ」。フレームのこと、ブレーキのこと、変速機のこと、ウェアのこと……これを読めば、知ってたはずの知識がよりクリアに、かつ意外な勘違いにも気づけるかも。そんな連載1回目のテーマはフレーム素材について。舞台はとある喫茶店。自転車にやけに詳しいマスターと、サイクリングの面白さにハマりはじめた常連客「トオルさん」の会話をこっそり聞かせてもらいながら、ロードバイクの基礎知識をおさらいしていきます。
2023.10.04