2023年のBAMBI

メッセンジャー。それは自転車による緊急配送請負人。

2000年代初頭、自由なスタイルで街を駆け抜ける姿に憧れて飛び込んだその仕事は、自分仕様の愛車とメッセンジャーバッグで、最速で荷物を届けるというシンプルな業務と、ピストバイクで街を走る楽しさを教えてくれた。また会社どころか国境を越えて世界中に繋がるコミュニティがあり、仕事の時間外でも業務を模したレースをしたりと、それはもはや職業というよりライフスタイルとでも言うべきもの。別れ際の挨拶が「また街で!」なんてところにもワクワクしたものだ。

ピストブームが盛り上がり、並行してメッセンジャーカルチャーの認知度も上がる中、僕自身もCMWC(Cycle Messenger World Championship/メッセンジャーの世界大会)に3度出場し、自分の世界をより広げることができた。一方で、リーマンショックや3.11などを経験し、変化する物流と通信事業の煽りを受けて年々悪化していく懐事情の中、それでも踏ん張った7年はかけがえのない日々だった(そのあたりのエピソードはぜひ、以前の「メッセンジャー狂時代」で読んでいただきたい)。

南 秀治みなみしゅうじ。1983年生まれ。熊本県の高校を卒業後、俳優を目指して上京。原宿のバイクショップ「W-BASE」に出入りするようになり、ピストバイクや以前から興味のあったメッセンジャーカルチャーに触れることに。やがて役者をやりながらメッセンジャーとしてT-servやCyclexで活動。引退後はバリスタとモデル・俳優活動を並行し、今年からはカフェの監修を行うなど活躍の幅を広げている。10月には自身が手掛けたカフェ「VIBdIN Chaos」が新宿にオープンしたばかり。彼が2000年代の東京のメッセンジャー界隈を振り返ったエッセイ「メッセンジャー狂時代」はこちら(Vol.01Vol.02Vol.03Vol.04)から。

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メッセンジャー狂時代(Vol.01)

2000年代、東京。ロードバイクを中心とするスポーツ自転車がブームになりつつあるなかで、もうひとつの自転車カルチャーが注目を浴びつつあった。自転車で荷物を運搬するメッセンジャーである。”自転車便”といういち職業でありながら世界的なムーブメントにもなった当時のリアルを、自身もメッセンジャーとして都内を駆け巡った経歴を持つBambiこと南 秀治が綴る。

2020.11.02

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メッセンジャー狂時代(Vol.02)

2000年代、東京。ロードバイクを中心とするスポーツ自転車がブームになりつつあるなかで、もうひとつの自転車カルチャーが注目を浴びつつあった。自転車で荷物を運搬するメッセンジャーである。“自転車便”といういち職業でありながら世界的なムーブメントにもなった当時のリアルを、自身もメッセンジャーとして都内を駆け巡った経歴を持つBambiこと南 秀治が綴る。第2回目はT-servからCyclexへの移籍と、“SINO”との出会いについて。

2021.01.25

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メッセンジャー狂時代(Vol.03)

2000年代、東京。ロードバイクを中心とするスポーツ自転車がブームになりつつあるなかで、もうひとつの自転車カルチャーが注目を浴びつつあった。自転車で荷物を運搬するメッセンジャーである。“自転車便”といういち職業でありながら世界的なムーブメントにもなった当時のリアルを、自身もメッセンジャーとして都内を駆け巡った経歴を持つBambiこと南 秀治が綴る。連載第3回はアジア人で初めてCMWCの世界チャンピオンになったSINO、そして異常なほどに盛り上がるピストブームについて。

2021.02.15

column

メッセンジャー狂時代(最終回)

2000年代、東京。スポーツサイクルブームが過熱しつつあるなかで、もうひとつの自転車カルチャーが注目を浴びつつあった。自転車で荷物を運搬するメッセンジャーである。世界的なムーブメントにもなった当時のリアルを、自身もメッセンジャーとして都内を駆け巡った経歴を持つBambiこと南 秀治が綴る。連載最終回は、リーマンショック、3.11、そしてメッセンジャーブームの終焉について——。

2021.03.15

interview

EFFECT オーナーメカニック・日比谷篤史さんインタビュー|本気か、どうか

ライディングスタイルと同様に多様化する「自転車にまつわる働き方」にスポットをあて、好きを仕事にした様々な自転車人にインタビューする連載企画「自転車で食べていく」。記念すべき第 1 回は 2013 年にスタートした、国内における自転車メンテナンス専門店のはしりともいうべき「EFFECT」のオーナーメカニック、日比谷篤史さんにお話を伺った。

2021.12.13

interview

トラックバイク専用工具RUNWELL誕生ストーリー|15mmレンチに込めた機能と美

3月末に敢行した2泊3日のLa route新潟取材。それは自転車業界におけるメイド・イン・ジャパンの真髄に迫る旅でもあった。先日公開したヨネックス・カーボネックスSLDの開発譚に続き、今回はものづくりの街・燕三条で、およそ90年にわたって金属加工業を営んでいる相場産業の4代目・相場健一郎さんのインタビューをお届けする。思いがけず25歳の若さで家業を継ぐことになった経緯から、2011年に立ち上げたトラックバイク専用工具ブランド「RUNWELL」の生い立ちと今後の展望を聞きながら、“Absolutely Made in Japan”を掲げてものづくりを続ける相場さんの歩みに迫った。

2023.07.17

technology

RUNWELL工場見学|燕三条で、工具が生まれる瞬間

相場産業の工具ブランド「RUNWELL」の生い立ちをお聞きした後は、もちろん工場見学である。相場産業は、1935年に燕三条に創業し、今でもこの地で金属加工を続けている。なぜ燕三条という地域は「金属加工のメッカ」となったのか。そこで、RUNWELLの工具はどのようにして作られているのか。なぜ工具は鍛造でなければならないのか。熱間鍛造の轟音と熱気をBGMに、単なる鉄の丸棒が世にも美しい工具へと変貌する様を、楽しんでいただきたい。

2023.07.17

interview

ビルダー4名が語る、 金属フレームのこれから(前編)

年齢も性格もビジネスの形態も使う素材も考え方も違う。しかし日本のオーダーフレーム界を背負って立つという点では同じ。そんな4人のフレームビルダーが、各々のフレームを持ってLa routeの編集部に集まってくれた。金属フレームの可能性について、オーダーフレームの意味について、業界の未来について、モノづくりについて、忌憚なく語り合うために。その会話の全記録。

2020.04.24

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ビルダー4名が語る、 金属フレームのこれから(後編)

年齢も性格もビジネスの形態も使う素材も考え方も違う。しかし日本のオーダーフレーム界を背負って立つという点では同じ。そんな4人のフレームビルダーが、各々のフレームを持ってラ・ルートの編集部に集まってくれた。金属フレームの可能性について、オーダーフレームの意味について、業界の未来について、モノづくりについて、忌憚なく語り合うために。その会話の全記録。

2020.04.24

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Tomii Cycles/冨井 直インタビュー|フレームに宿る“美”と“楽”

テキサス州の州都、オースティン。ライブミュージックの街としても知られるこの地に、「Tomii Cycles」というブランドを立ち上げた日本人フレームビルダー冨井 直がいる。現代アーティストを目指して1998年に渡米した彼は、なぜ2011年に自身のフレームブランドを立ち上げることになったのか。自転車との邂逅、彼の地でのKualis cycles西川喜行さんとの出会い、そしてフレームづくりへのこだわり――。かねてから親交のあるフォトグラファー田辺信彦が現地でインタビューを行い、冨井 直の素顔に迫る。

2022.05.09

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ラファ・ジェントルマンズレース京都が遺したもの|10年後の紳士たち 

2023年5月、「非公式」を謳いながらブランド名を冠した不思議なライドイベントが、京都で行われた。「ラファ・ジェントルマンズレース京都2023トレース “アンオフィシャル”」というそれは、10年前に同地で行われたイベントを有志たちがオマージュし再構成したものだ。当時はラファの社員として運営に携わり、今回はひとりのライダー(そしてフリーランスライター)としてこのライドを走った小俣雄風太が、この10年でロードサイクリングにもたらされた変化と、今回のイベントの意義について考える。

2023.05.29

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Imagine a cycling world without Rapha| 苦痛の先に今も栄光はあるか

2004年、イギリスで誕生した「ラファ」。多くの人にとってラファはサイクルウェアブランドの1つというイメージが強いかもしれないが、それはラファがもつ表層の一部でしかない。ではラファとは、いったい何なのか。ラファが日本国内の自転車文化にもたらしたものは、いったい何だったのか。2021年に創業者であるサイモン・モットラム氏がCEOから退任し、そして矢野大介氏がラファジャパンの代表から退いたこのタイミングで、改めてラファというブランドの足跡と本質を探ってみたい。

2022.11.14

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不愛想な自転車たち(Vol.01)

「スペック」や「速さ」が重視されるスポーツ自転車において、「ゆるさ」という何の数値化もできない性能で瞬く間に世を席巻した、1998年創業の自転車メーカー「SURLY」。2006年から幾度となく彼らの本拠地ミネソタに足を運んだ自転車ライター山本修二が、今までほとんど語られることのなかったSURLYのすべてをお伝えする。連載第一回目は、SURLYとの出会いと彼らがもつ魅力について。

2020.07.06

interview

寒川勝一(33)フレームビルダー|人生のコーナーを抜けた先

大阪府堺市にあるフレームブランド「コーナー」。主宰するのはかつてLa routeでも行ったフレームビルダー座談会にも参加してもらった、33歳の寒川勝一さんである。これまで彼はロードバイクはもちろん、グラベルロードやマウンテンバイク、実用的な軽快車などジャンルレスで多彩なバイクを製作してきた。しかしそこに一貫してあるのは「寒川さんらしさ」である。連載企画「若者たちの肖像」の第5回は、そんな若きフレームビルダーの紆余曲折な自転車人生に迫る。

2022.07.04

column

不愛想な自転車たち(Vol.02)

「スペック」や「速さ」が重視されるスポーツ自転車において、「ゆるさ」という何の数値化もできない性能で瞬く間に世を席巻した、1998年創業の自転車メーカー「SURLY」。2006年から幾度となく彼らの本拠地ミネソタに足を運んだ自転車ライター山本修二が、今までほとんど語られることのなかったSURLYのすべてをお伝えする。連載第2回は、SURLY誕生のルーツとものづくりの設計思想について。

2020.08.10

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不愛想な自転車たち(Vol.03)

「スペック」や「速さ」が重視されるスポーツ自転車において、「ゆるさ」という何の数値化もできない性能で瞬く間に世を席巻した、1998年創業の自転車メーカー「SURLY」。2006年から幾度となく彼らの本拠地ミネソタに足を運んだ自転車ライター山本修二が、今までほとんど語られることのなかったSURLYのすべてをお伝えする。連載第3回は、旅とSURLYの関係性について。

2020.10.19

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不愛想な自転車たち(Vol.04)

「スペック」や「速さ」が重視されるスポーツ自転車において、「ゆるさ」という何の数値化もできない性能で瞬く間に世を席巻した、1998年創業の自転車メーカー「SURLY」。2006年から幾度となく彼らの本拠地ミネソタに足を運んだ自転車ライター山本修二が、今までほとんど語られることのなかったSURLYのすべてをお伝えする。連載第4回は、SULRYの代名詞のひとつであるファットバイクのルーツや開発秘話をお届けする。

2020.12.21

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不愛想な自転車たち(Vol.05)

「スペック」や「速さ」が重視されるスポーツ自転車において、「ゆるさ」という何の数値化もできない性能で瞬く間に世を席巻した、1998年創業の自転車メーカー「SURLY」。2006年から幾度となく彼らの本拠地ミネソタに足を運んだ自転車ライター山本修二が、今までほとんど語られることのなかったSURLYのすべてをお伝えする。連載第5回は、完成車ブランドではなく“パーツブランドとしてのSURLY”に着目し、彼らがこれまで生み出してきた数々のパーツにスポットをあてる。

2021.04.12

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ロードバイクのキホンのキ(Lesson1)|フレーム素材のエトセトラ

ディープな記事を数多投下してきたLa routeがあえてお届けする、ロードバイクの入門連載企画。その名も「ロードバイクのキホンのキ」。フレームのこと、ブレーキのこと、変速機のこと、ウェアのこと……これを読めば、知ってたはずの知識がよりクリアに、かつ意外な勘違いにも気づけるかも。そんな連載1回目のテーマはフレーム素材について。舞台はとある喫茶店。自転車にやけに詳しいマスターと、サイクリングの面白さにハマりはじめた常連客「トオルさん」の会話をこっそり聞かせてもらいながら、ロードバイクの基礎知識をおさらいしていきます。

2023.10.04