変わりゆくプロトン、変わらない別府史之
別府史之、38歳。職業、ロードレーサー。日本人初となるツール・ド・フランス完走者のひとりであり、高校卒業後から現在に至るまで、数えきれないほどの功績を日本ロードレース界にもたらしてきた人物だ。今回のインタビューは、フランスに拠を構えている別府が帰国するという話を聞きつけ急遽実施。インタビュアーは、別府史之を古くから知る小俣雄風太が務める。
2021.06.21
特別寄稿
僕たちがみた、別府史之
3大グランツールや、モニュメントと呼ばれる格式の高い5つのワンデーレースの完走、北京とロンドンオリンピック、そして世界選手権に至っては8度もの出場を重ねるなど、自転車ロードレースのトップシーンで活躍してきた別府史之。そんな彼が2021年11月6日、17年にも及ぶプロ選手のキャリアにピリオドを打つことを発表した。「僕たちが見た、別府史之」では、彼をよく知る人物からのメッセージを通じて、これまでの別府史之の軌跡を辿り、これからの別府史之にエールを送りたい。
世界のトップカテゴリーを別府史之選手と共に走ってきた新城幸也選手(バーレーン・ヴィクトリアス)。同世代のプロロードレーサーとして、日本人として別府さんの引退は彼の目にどう映ったのか。「僕たちがみた、別府史之」の冒頭では、新城幸也選手へのミニインタビューをお届けする。
――別府さんと初めて会ったのは?
新城:たぶん2004年の沖縄合宿だと思います。僕がエスポワール1ブリヂストン・アンカー・エスポワール=ブリヂストン・アンカーの育成チーム。のとき。別府さんはそのときラポム・マルセイユ2フランスのトップアマチュアチーム。別府さんは当時ブリヂストン・アンカーに籍を置きながら、欧州経験を積むためにヴェロクラブ・ラポム・マルセイユに派遣されていた。で、フランスで走ってたんです。でも、別のチームだったので宿に戻ったときに顔を合わせたくらいで、ほとんど話をしなかったと思います。一つ覚えてるのは、別府さんが釣竿を持ってきてたこと(笑)。トレーニングの後に釣りに行ってたんじゃないかな。
――選手として別府さんを意識したのはいつですか?
新城:広島の全日本選手権(2006年)。別府さんが勝ったときですね。そのとき別府さんはすでにベビー・ジロ(ジロ・デ・イタリアのアマチュア版)で結果を出していたし、ディスカバリー・チャンネルで走っていたので強いことは知ってましたが、それがどのくらいのレベルなのか分からなかったんです。僕はそのときもっと下のレベルで走っていたので、想像がつかない。で、初めて別府さんの走りを目の当たりにしたのが広島の全日本でした。僕はそのときアンダーでエリートに出させてもらえなかったんですが、別府さんは独走でとにかく強かったので、印象に強く残ってます。
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別府史之、38歳。職業、ロードレーサー。日本人初となるツール・ド・フランス完走者のひとりであり、高校卒業後から現在に至るまで、数えきれないほどの功績を日本ロードレース界にもたらしてきた人物だ。今回のインタビューは、フランスに拠を構えている別府が帰国するという話を聞きつけ急遽実施。インタビュアーは、別府史之を古くから知る小俣雄風太が務める。
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