ファースト・コンタクト

なるしまフレンドの小畑 郁さんが主催した忘年会。
業界関係者や自転車趣味人が多く集まったそこに、若手レーサーがいた。
180cm弱の長身に、韓流ドラマに出られそうな、整った小さい顔が乗っかっている。
門田祐輔、取材時23歳。

宴もたけなわの頃、大人たちに囃し立てられて、門田さんが挨拶をすることになった。年齢に反して物腰の低い穏やかな雰囲気。
童顔に似合わない低い声。
「来季、EFエデュケーションNIPPOのデベロップメントチームに所属することになりました門田祐輔です。皆さん応援よろしくお願いします」

なんと優等生的な。
小畑さんの奥様が作る料理と大量のアルコールでいい感じに出来上がった宮澤崇史さん1海外レース経験が豊富な元プロ選手。かつては名門プロチーム、サクソバンクに所属していた。現在はリオモ・ベルマーレの監督を務める。が温かいヤジを飛ばす。

「お前はもっと自分でアピールしなきゃだめだな」

おそらく昨シーズンは、門田さんの面倒をみられていたのであろう。
周りから優しい笑いが飛ぶ。

「皆さんね、こいつはあっち(ヨーロッパ)のチーム探しから交渉から全部自分でできる、実はすごいヤツなんですよ……」

門田さんは恥ずかしそうにはにかんでいる。
若くして海外へ飛び出し、自ら道を切り拓き、欧州レースで海外選手とやりあう闘志と、控えめな性格。
そのギャップが面白いと思った。

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