なぜ老舗がこんなことを?

ビアンキの開発セクションにはもしかしたら魔法使いがいるのかも。

何の変哲もない形の自転車を、ほとんどこれ以上ないというほどのバランスに仕立てた奇跡の名車、スペシャリッシマに乗って、そう思った。
それなら新型オルトレも、ごく普通の形でありながら夢のような走りをするのでは――勝手にそんな期待をしていた。

しかしタイムラインに流れてきた新型オルトレのティーザーフォトは、サーヴェロに酷似した異形の自転車。さすがに「S5に似すぎてるからなんか違うことやんなきゃ」と思ったのか、ヘッドチューブ脇には整流フィンなんかも付いている。
ビアンキらしくないモデルチェンジ、というのが第一印象だ。なぜ世界で一番の老舗がこんなことをやったのだろう。

3月末、La routeチームは千葉のリゾート施設「リソルの森」で開催された新型オルトレ発表試乗会に参加すべく、歴代のオルトレ全てに試乗しているというジャーナリストの吉本 司さんと一緒に、アクアラインを渡った。

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