ANCHOR・RP9試乗記| そこに“なにか”はあるか
やっと出てきた。アンカー初のエアロロード、そしてアンカー初のハイエンドディスクロードでもあるRP9。さらに、デュラエース完成車約120万円、フレーム価格約50万円という高価格帯への参入。アンカーにとって初めて尽くしの意欲作でもある。ライバルメーカーに対する遅れを取り戻せるか。競合ひしめくハイエンド市場で存在感を示せるか。オリンピックの興奮冷めやらぬ2021年9月の東京で、安井がRP9に乗り、真面目に考えた。
2021.09.27
BIANCHI ORTRE RC/PRO/COMP 試乗記
伝統芸から、空力戦争の最前線へ
2010年に登場した初代から4代目のXR4まで、コンセプトも設計も大きく変えぬまま、市場での評価も実戦での結果も手にしてきたビアンキのオルトレ。しかし5代目となる新型は、姿をがらりと変えてきた。La routeは3月末に行われたそんなオルトレの発表試乗会に参加。トップグレードの「オルトレRC」とセカンドグレードの「オルトレ プロ」に自転車ジャーナリストの吉本 司が、シリーズ末弟である「オルトレ コンプ」に編集長の安井行生が乗り、世界最古の自転車メーカーであるビアンキの生き方と行き方を考えた。
ビアンキの開発セクションにはもしかしたら魔法使いがいるのかも。
何の変哲もない形の自転車を、ほとんどこれ以上ないというほどのバランスに仕立てた奇跡の名車、スペシャリッシマに乗って、そう思った。
それなら新型オルトレも、ごく普通の形でありながら夢のような走りをするのでは――勝手にそんな期待をしていた。
しかしタイムラインに流れてきた新型オルトレのティーザーフォトは、サーヴェロに酷似した異形の自転車。さすがに「S5に似すぎてるからなんか違うことやんなきゃ」と思ったのか、ヘッドチューブ脇には整流フィンなんかも付いている。
ビアンキらしくないモデルチェンジ、というのが第一印象だ。なぜ世界で一番の老舗がこんなことをやったのだろう。
3月末、La routeチームは千葉のリゾート施設「リソルの森」で開催された新型オルトレ発表試乗会に参加すべく、歴代のオルトレ全てに試乗しているというジャーナリストの吉本 司さんと一緒に、アクアラインを渡った。
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やっと出てきた。アンカー初のエアロロード、そしてアンカー初のハイエンドディスクロードでもあるRP9。さらに、デュラエース完成車約120万円、フレーム価格約50万円という高価格帯への参入。アンカーにとって初めて尽くしの意欲作でもある。ライバルメーカーに対する遅れを取り戻せるか。競合ひしめくハイエンド市場で存在感を示せるか。オリンピックの興奮冷めやらぬ2021年9月の東京で、安井がRP9に乗り、真面目に考えた。
2021.09.27
コロナの影響でなかなか実現しなかったアンカー・RP9開発者インタビューが、やっと叶った。日本のメーカーだから、近くて簡単に取材できるから、なんていう消極的な理由ではない。RP9を見て、乗って、考えた結果、これはなにがなんでも開発者に話を聞かねば、と強く思ったのだ。あの走りは意図されたものなのか。もしそうなら、どうやって実現したのか。ブリヂストンサイクル上尾工場内のカーボンラボにて、RP9の秘密に触れた。
2021.11.22
2014年の先代デビューから6年もの間、フェルト・ARシリーズはリムブレーキ仕様のまま放置されていた。2020年2月、コロナウイルスの影響が広がる直前、遂に新型ARがお披露目される。黎明期からエアロロードシーンを牽引していたAR、最新作の出来はどうか。セカンドグレードのARアドバンスドに安井が乗った。フェルトが使うテキストリームカーボンについても考察する。
2020.11.16
ビッグメーカーの主要モデルの中で唯一リムブレーキだったビアンキ・スペシャリッシマが、モデルチェンジを経て遂にディスク化を果たした。エートスでもなく、ターマックでもなく、スペシャリッシマを買う意味はあるのか。先代のスペシャリッシマに乗って深く感動した編集長の安井が、箱根で新型スペシャリッシマに乗る。「あの美しい想い出を壊さないでくれ」と願いながら――。
2021.08.02
空力を前提条件に加えたという電脳の申し子、4代目BMC・SLR01。ACEテクノロジーを初採用した2代目に試乗し、あまりのレベルの高さに感動し、思わず買ってしまった経験のある編集長・安井は、この4代目をどう見るか。BMCのテクノロジーと過去モデルを振り返りながら、最新のSLR01の立ち位置を探る。
2020.10.12
2022年のツール・ド・フランスでマイヨジョーヌ、マイヨアポワ、マイヨヴェールを全て獲得し、これ以上ないほどのデビューウィンを飾ったサーヴェロの新型エアロロード、S5。しかし、ツールを走っているのが新型だと気付いた人は少なかったかもしれない。無二の専用フォークと二股ステムを含め、旧型とほとんど形状が変わっていなかったからである。サーヴェロはなぜ形を変えなかったのか。そして、どこを変えたのか。前作のS5にはさほどいい印象がなかったという安井行生が、新型に冷静な評価を下す。
2022.09.26
2014年の先代デビューから6年もの間、フェルト・ARシリーズはリムブレーキ仕様のまま放置されていた。2020年2月、コロナウイルスの影響が広がる直前、遂に新型ARがお披露目される。黎明期からエアロロードシーンを牽引していたAR、最新作の出来はどうか。セカンドグレードのARアドバンスドに安井が乗った。フェルトが使うテキストリームカーボンについても考察する。
2020.11.16
トレック・マドン、サーヴェロ・S5、スコット・フォイル、ビアンキのオルトレRC……主要メーカーがエアロロードを刷新した2022年、本命と目されているのがジャイアントの新型プロペルである。今作で3代目となる世界最大のスポーツバイクメーカーのエアロロードは、いかなる出来なのか。ポジションの関係でトップモデルのアドバンスドSLには試乗できなかったが、弟分であるアドバンスドプロに乗り、安井行生がジャイアントの開発姿勢を考えた。La route初のジャイアント試乗記ということで、大いに期待していたのだが……。
2022.12.05
前作のデビューからたったの3年。しかし、その3年の間にエアロロードを取り巻く環境は大きく変化した。ディスクブレーキに完全移行しただけではない。「空力よけりゃそれでいい」から「軽さ・扱いやすさ・ハンドリングも優れていて当然」へ。「高速域特化マシン」から「山岳以外をカバーする万能バイク」へ。そんな中、屈指のビッグメーカー、メリダはリアクトをどう仕立ててきたのか。
2020.11.09
ピナレロのドグマも、BMCの各車も、「ウチのバイクはシルエットだけでウチのだと分かる」と、フレーム形状の個性を言い募る。2023年、彼らを赤面させるほどの独自性を備えたニューモデルが出た。しかも、そんなことを一番しそうになかった真面目なメーカーから。新型マドンである。初代マドンの登場から20年。7代目となった新作は、どんな走りをし、どんな存在になっているのか。人生の節目節目でトレックのロードバイクから衝撃を受け、自転車観が変わるほどの影響を受けているという安井行生が、新型マドンに乗って考える。
2023.03.06
ディスクロードにしてフレーム重量600gを下回るという、にわかには信じがたい軽さを誇るエートス。そしてグラベルロードながら軽量ロードバイクフレーム並みの重量を実現したクラックス。それらを開発したのは、スコットのアディクトやキャノンデールのスーパーシックエボなど数々の名車を手掛けてきた、自転車界の鬼才と呼ばれるエンジニア、ピーター・デンク。La routeは、エートスが発表された1年以上も前から「デンクに話を聞きたい」と言い続け、ついに氏へのインタビューが実現した。エートスはなぜここまで軽くなったのか。なぜ従来のセオリーとは異なる形状になったのか。デンク氏から得られた回答のほぼ全てを、ここにお伝えする。
2022.02.21
ロードバイクに求められているものが変わり、ロードバイク作りに必要なものが変わった。業界の勢力図が描き変えられ、かつての名門が驚くほどの凋落を見せている。そんななかで、ピナレロの勢いは陰らない。グランツールでの連戦連勝。東京五輪での独走勝利。そんな彼らの最新モデルがドグマFである。しかし価格を見て誰もが唸った。それは適正価格か、ぼったくりか。編集長の安井が注目の一台を斬る。
2021.09.20