※記事公開後、ピナレロの輸入代理店であるカワシマサイクルサプライから補足情報を頂き、一部記事の内容を修正しました(修正箇所はわかるようにしてあります)。

ピナレロのモノの売り方

向上した空力性能ではなく、高まった剛性でもなく、フレームセットの減量でもなく、機材好きがまず注目したのが、その価格だろう。
税込み価格とはいえ、フレームセットで90万円オーバー。専用ハンドルを入れると大台突破。ロードバイクが高くなったといわれる中でも、ここまでのモデルはそうそうない。
ピナレロの新型ドグマFである。

ドグマという自転車の特徴は、モデルスパンが1~3年と短いこと、そして基本設計をガラリと変えるのは数回のモデルチェンジに一度であることだ。
マグネシウムフレームの第一世代、初代ドグマ~ドグマFP~ドグマFPX。
カーボン化した第二世代、ドグマ60.1~ドグマ2~ドグマ65.1。
空力を重視した第三世代、ドグマF8~ドグマF10~ドグマF12。

世代ごとに基本的なプラットフォームを作っておき、あとは1~3年毎に微細な変更を加えながら市場でのプレゼンスを維持する。基本設計は同じだから、2年前後という短いスパンでモデルチェンジを繰り返せたとも言える。そして、変えるときはがらりと変えて世代交代を高らかに宣言する。そういう商売だ。

かつてのピナレロの面影を色濃く残していたドグマ65.1から、エアロロード化したドグマF8になったときの衝撃は今でも覚えている。見た目の変化よりも、走りの変化が衝撃だった。

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