シマノ・新型105試乗記
新しい世界と、滅びゆく種族
デュラエース／アルテグラと同様の12速化・電動化・セミワイヤレス化を果たし、機材好きを驚かせたシマノの105。なにより、20万円を超す価格が世をざわつかせている。ロードバイクにとってのベーシックコンポーネントである105のこの変化は、自転車界にどのような影響を与えるのか。105に与えられた機能と性能は20万円に値するものなのか。9速の時代から105に触れてきた安井行生が新型105でテストライドを実施。さらに新型発表会で開発チームのお二人にインタビューを行い、新型105の本質に迫る。
今までの慣習に倣うなら、シマノロードコンポのモデルチェンジに際してしっかりと記事にするのはデュラエース、やったとしてもアルテグラまで。それら兄貴分の性能を受け継いだ105のモデルチェンジは、雑誌で言うなら数ページのみ。一応取り上げときますか的な、おまけ的な扱いが多かった。
しかし今回はちょっと違う。メディアもマーケットもSNSも、良くも悪くも大いにざわついている。当人のシマノもプロモーションに力を入れているようだ。
理由は簡単だ。105として初めて変速が電動化されたこと。しかも上位モデルと同じセミワイヤレスとなったこと。当然のように12速化したこと。そして、セットで20万円を超す価格が付けられたこと。
間違いなく105史上最大の変化。
ネット上では「高い」「とにかく高い」「信じられない」「もう買えない」のシュプレヒコール。
それらと一緒になって歌って踊るのもいいが、まぁちょっと冷静になって、新型105を眺めてみよう。
まず、新型105のスペックを確認する。だらだらと文章化してもしょうがないので、箇条書きで簡素にまとめる。
大きな変化としては、
・12速化
・セミワイヤレスDi2化
・充電方法やアプリなどのシステムもデュラ／アルテと共通
・キャリパーの設計も上位グレード譲り
であり、基本的な機能は全てデュラエース／アルテグラから受け継いでいる。
デュラエース／アルテグラとの差異は、
・レバートップスイッチなし
・レバーの有線ポート＆拡張ポートもなし
・変速は「HG＋」1HG＋＝ハイパーグライドプラスは、HG＝ハイパーグライドに比べスプロケットの歯先形状を最適化し、よりスムーズで速い変速を実現する技術。ではなく「HG」
・ブレーキのサーボウェーブアクションなし
であり、理由は全てコストダウンのためである。
要するに、基本設計はデュラ／アルテを踏襲しつつ、コストのかかる機能を省いたものだ。
その他のスペックを列挙すると、
・スプロケは11-34Tと11-36Tの2種類
・チェーンリングは50-34Tと52-36Tの2種類
・クランク長は160～175mm
・チェーン、ローター、BBは既存製品を流用
となる。ギヤ比を見ると、レーシングユースではなく、ロングライドなど一般ユースに目を向けたコンポであることが伺える。
以下、キャプションにて価格と重量を記載しておく。
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