組み直して前線に復帰させたスカピンですが、この時代のバイクに乗ってると、フォークを変えたくてうずうずしてくるのがおじさんロード乗りの性(?)。
純正フォークはマニアックなワウンドアップで、クラウンがフレームカラーに合わせたブルー、SCAPINとRAKE44の刻印が入ったかなりレアなもの。これも決して悪くはないんですが、タイムにしたらどうなるんだろ? とか思ってしまうわけです。十数年前は、「とりあえずタイム」がチューンナップの合言葉でしたからね。自分だけかもしれませんが。

まず、登坂性は上がりました。シッティングでもダンシングでも、前から引っ張ってくれるようによく上ります。加速性能もいい方向に変化しました。全速度域で加速が力強くなった。運動性能は1.5割増しという感じ。さすがタイム。特に登坂性はかなりのレベルに達しました。この上りの気持ちよさはスチールとしては屈指でしょう。

でも、ハンドリングは悪化しました。
ちゃんと曲がります。思った通りに走らせられます。
でも、腰の座りがよくないというか、直進時に身を任せることができない。
舵角を増していく途中で急にオーバーステアに転じるような感触も出る。
タイムのアヴァンスティフのオフセットは43mm。1mmの違いだけでここまでハンドリングが変わるとも思えないので、フレームとフォークの剛性感の相性もあるんでしょう。

登坂性か。ハンドリングを含めたバランスか。
この二者択一はなかなか悩ましいです。

失ったもの。得たもの。
それを天秤にかけるため、箱根へ。
この記事でも走ったお気に入りのコースを走ってきました。

熱海から十国峠に上っている途中、リドレーとボッテキアに乗る二人のジェントルマンサイクリストを追い抜きました。横に並んだとき、こんちわー、と挨拶すると、ボッテキア氏が「こんち……おぉ、スカピン!」。

僕は自分のバイクが人にどう思われようが全く気にしない質ですが、スカピンを知ってる人に出会うと嬉しくなってしまいます。わざわざボッテキアを選ぶくらいなので、相当マニアックな方なのでしょう。
お互い登坂中だったのでそれ以上言葉を交わすことはありませんでしたが、その一言で久々のロングクライムに日和りかけていた脚に熱が入り、ダンシングを多用しながら一気に芦ノ湖へ。

長尾峠に上る頃には、ハンドリングにも慣れ、ほぼ違和感なく扱えるようになってました。欠点というより、癖として捉えられるくらい。
長尾峠を下ってから乙女峠に上ろうと思ってましたが、なんとなく長尾峠にもう一度上り返すことに。最後までスカピン×タイムの鮮やかな登坂性能は彩度を保ったままでした。

小田原までの長い長いダウンヒルでもハンドリングの問題は表面化せず。台風一過の快晴の日、タイムを挿したスカピンは素晴らしいライドを提供してくれたのです。最初は純正フォークに戻そうかと思ってましたが、ハンドリングの癖は飲み込んで、このままヒルクライム・スペシャル的な性格を愉しむのもいいかも……。

(安井行生)