今回の記事の主役、川口真平さん。通称シンペーちゃん。
彼と出会ったのは、La routeでもおなじみのフォトグラファー、田辺信彦さんと映像制作の仕事をご一緒したときでした。

多摩川の河川敷を自転車が走っていく、というシーンの撮影。そのエキストラの一人として、田辺さんが声をかけてくれていたのがシンペーちゃん。たまたまロケ場所のすぐ近くに住んでいて、大の自転車好き。田辺さんがブルーラグで働いていた頃からの付き合いで、「とにかく面白い奴なんですよ」とのこと。

撮影当日の朝、シンペーちゃんは、クラシカルなサイクリストスタイルを今風にアレンジした出立ちで登場。またがっているのは、どこかへんちくりんだけどめちゃくちゃイケてるシティバイク。間違いなく本人のこだわりで、あらゆるところに手が加えられている。とっさに変わり者だと判断しました。

田辺さん「おう、シンペーちゃん久しぶりじゃん!」
シンペーちゃん「あ、お久しぶりです。もう◯◯以来ですかね」

旧知のはずの田辺さんに対しても、ものすごく低姿勢。
田辺さんは上背があり、シンペーちゃんはやや小柄。その見た目も相まって、完全にふたりは地元の先輩・後輩のようにしか見えなかったのですが、よく聞くと同い年。

「シンペーちゃんは誰に対してもこんな感じですよ」と田辺さん。
下手に来るけど嫌味な感じは全くなく、みんながつい可愛がりたくなる。シンペーちゃんはそんな不思議な魅力を持っていました。今思えば、このキャラがネパール旅でもいかんなく発揮されていることがわかります。

予定していた撮影が無事終わり、お茶を飲みながら休憩していると、田辺さんがニヤニヤしながら話しはじめました。

「実はね、こいつ自転車でヒマラヤに行ったことがあるんすよ。それも結婚に失敗したっていう理由で」

自転車でヒマラヤ? 結婚に失敗? すでに情報過多です。

「でね、せっかくそんなところまで傷心旅行に行くなら、絶対面白いことがあるはずだと。だからたくさん写真を撮って、毎日日記を書いて僕に送れって言ったんです」

面白そうなものへの嗅覚と、面白いものを何かしらカタチに残そうとする提案力。ここが田辺さんの本当にすごいところです。
そして実際にシンペーちゃんも、その半強制的な(?)指示に応えて、膨大な写真とテキストを、Wi-Fiがつながるたびに現地から田辺さんへ送りつづけました。

こうして揃った貴重な写真とテキストは、いずれ田辺さんがZINEとしてまとめるつもりだったそう。しかし実現できぬまま数年が経過してしまい、半分お蔵入り状態に。
そんな折に、僕とシンペーちゃんが出会う機会が訪れた。このタイミングを嗅覚の鋭い田辺さんが逃すはずはありません。

「シンペーちゃんのヒマラヤ傷心旅行。La routeで記事にしたら面白くないですか?」

その話、乗った! というわけで、今回の企画の素地をつくってくれた影のプロデューサーは、他でもない田辺さんなんです。

後日、数年間クラウド上に眠っていた写真とテキストを掘り返してもらいました。送ってもらった写真と日記を見てみると、どこまでもリアルだし面白い。「箇条書きの延長みたいな感じかな」と想定していた日記も、まさかここまで仕上がっているとは思いませんでした(今回の記事化にあたって、微細な誤字脱字の修正以外、ほとんど手を加えていません)。

こうして、普段のLa routeとはちょっと毛色の違う「旅日記コンテンツ」がカタチになりました。みなさんに楽しく読んでいただけていたら幸いです。

シンペーちゃんと出会ってあらためて、自転車を通じていろんな人とつながっていくのは、本当に面白いなと思いました。田辺さん、ありがとうございます。
そしてまた、こんな面白い出会いがありますように。

最後の最後になりますが、今回の記事を読んで、自分も海外でアドベンチャーライドをしてみたいと思った読者の方、いらっしゃいませんか?
せっかくなので、シンペーちゃんがメモしてくれていた装備品リストを以下に載せておきます。

(高山)

今回の旅の装備について。
自転車を持って海外へアドベンチャーしに行く際の参考にしてもらえたら嬉しいです。
今回はテント泊ではなく宿に泊る旅だったので、荷物は最小限でした。

【荷物リスト】

・バイク:ROCKLOBSTER Team Tig MTB
・バッグ:FAIRWEATHER custom frame bag(ハンドルバーバッグ、フレームバッグ、シートバッグ)
・ステムバッグ:HOME AND PAW golden ball bag
・Rapha Classic Jersey(ウール)
・ビブショーツ
・Team Blue Lug スキンスーツ
・パンツ2枚
・登山用ウール靴下2枚
・防水靴下1枚
・タンクトップインナー2枚
・メリノウールインナー3枚
・ULダウンジャケット
・7mesh Gore Tex Jacket
・SWRVE Mid Weight WWR pants
・ネックウォーマー
・グローブ
・インナーグローブ2枚
・途中買い足したフリースジャケット
・FAIRWEATHER サコッシュ
・ウエストバッグ
・靴
・防水グローブ
・防水タイツ
・シューズカバー
・タバコ
・薬
・マスク
・モバイルバッテリー2個
・変換コンセント
・コンデジ1台
・フィルムカメラ2台
・小さい三脚
・フィルム5本
・パスポート
・iPhone
・地球の歩き方
・サンダル
・ブラックサンダー(たくさん)
・補給食
・水
・工具
・予備チューブ2本
・携帯ポンプ
・モンベル輪行袋
・ライト
・ライト用電池
・ヘッドライト
・エマージェンシーシート
・トイレットペーパー
・リベンデルの紐7本
・寝袋(山へ入る際にレンタル)

途中で加えた荷物はなし。バイク込みで総重量は21kgほど。
飛行機はどこもアップチャージなしで搭乗できた。
お土産を買い足した帰りの飛行機も、重量は25kgほどでアップチャージなし。
服もほとんど着ているので、バッグの中には余裕があった。
メリノウールインナーは寒い時に3枚、それ以外の時は2枚着用。
インナーは洗わず1週間着続けたが、ほとんど臭わなかった。メリノウールすごい。
防水靴下は山にいる間ずっと重ねて履いていた。寒さや風に強く、川で濡れても大丈夫だった。
お土産を買うと、さすがに荷物はパンパン。
宿に泊まるなら寝袋は不要。冬場にさらに高地の山小屋まで行くなら必要かも。
宿には布団が多めにあったので、フリースジャケットとインナーグローブはなくてもよかった。ただ宿を決めるときは、必ず部屋の中をチェックして。

【旅で失くしたものetc】

フィルムカメラが1個故障。現地で捨てた。
モンベルのサンダルはサドルバッグの紐で外に縛っていたが、どこかで落とした。
フリースジャケットも暑くて脱いでいた際に縛っておいたら落とした。
サドルバッグに紐で縛りつける方法は、路面の悪さもあって落下しがちなので注意。
コンデジも寒さのせいかずっと調子が悪かった。
小さい三脚は役に立たなかった。三脚を持って行くならしっかりしたモノがいい。
iPhoneは、山中では大丈夫だったが、街中だとなぜか地図がフリーズすることが多かった。
リベンデルの紐は緩みにくくて輪行に便利。逆に輪行袋についている紐は緩みやすかった。
フレームバッグもまとめてリベンデルの紐を巻いたら、肩掛けになって荷物が運びやすくなった。