もう1月も下旬になってしまいました。なんだかここ数か月は忙しすぎて(忙しいという言葉を使うのは好きじゃないんですが…)、自転車にもチョイノリしかできない日々を送っております。

さて、先日公開した「挑戦者、シマノ(Vol.02)」、ご覧になっていただけたでしょうか。この企画はいまや自転車界のドンともいうべきシマノが挑戦者だった時代を描くという連載で、2回目のテーマは「STIレバー」でした。

となると当然メインカットは、シマノ初のSTIレバーとなる「ST-7400」を撮影したいところですが……当然ながらLa routeメンバーは誰も持っていません。

「はてどうしよう?」 と思っていた矢先にサイクルキューブのメカニックの柴山大輔さんと話す機会があり、「あ、ST-7400、バイクに付いたままだけど持ってますよ」という天の声が。
その後、幾度かのやりとりを経て、ST-7400装着車をお借りし、メインカットとインサートカットの撮影が終了。無事に記事が公開できたというわけです。柴山さん、改めてありがとうございました。

La routeのSNS(FACEBOOKInstagramTwitter)では、そのあたりのこともふわっと触れてはいたんですが、このST-7400が装着されているLIMA SONSがこれまたシブイ。聞けば柴山さんが16歳(!)のとき、フルオーダーしてつくってもらったものだそう。

はじめはカーボンパイプ×アルミラグ仕様かと思ったんですが……よくよく見るとフレームはカーボンとクロモリのハイブリッド。一度、クロモリパイプでフレームの形にしたあと、トップチューブ、ダウンチューブ、シートチューブを切断(!)し、そこにカーボンパイプを差し込んでいるのだそう。東洋フレームもカーボンとクロモリのハイブリッドバイクを出していますが、やはり同じような作り方なんでしょうか。今度お会いしたときに聞いてみたいと思います。

コックピットからの目線。現代のバイクに見慣れていると、この華奢なラインにドキッ。ついているサイクルメーターはもちろん現役。たまごっちみたいでかわいいです。

装着されているステムはチネリのチタン製ステム、グランモ。手前にある「GRANMO」のデカールは、柴山さんご自身が作り直した(!)そう。

柴山さんに「乗っていいですよ」と言われたので、ほんの数kmですが遠慮なくチョイ乗りさせてもらいました。

僕にとっては初めてのハイブリッドフレームだったんですが、乗り味はかつて所有していたクロモリロード(BASSOの1980年後半ごろ? のモデルを持ってました)のそれに近い感じ。

このLIMA SONSがつくられた当時はカリカリのロードレーサーだったはずですが、現代のロードバイクと比べると隔世の感があります。路面の凹凸はハンドルを通してダイレクトに伝わってくるし、フロント周りもなんだか頼りない印象。でもなぜでしょう、こういう乗り味、好き(笑)。乗り手にバイクとの対話が求められる感じがして楽しいんです。

ちなみにこちらのLIMA SONSのフレームをつくった松永一治さんは現役のビルダーさんで、現在は茨城県つくば市で「スポーツバイクつくば まつなが」というお店をやられています。

そうそう。柴山さんは1月いっぱいでサイクルキューブを退職し、同じくサイクルキューブの御器谷信之さんとともに独立して新店舗を立ち上げるそうです。店名は「MAGNET」。サイクルキューブが輸入代理店を務めていたデンマーク発のウェアブランド「PAS NORMAL STUDIO」をメインに、いろいろと展開するのだとか。

オープンは2月末予定。La routeオフィスからも近いことですし、プラッと足を運んでみようと思います。あ、ここで紹介したLIMA SONSのバイクはたぶんおいてません(笑)。

(栗山)