ハンドメイドとデジタル
千代田区にある科学技術館で毎年1月に開催されている「ハンドメイドバイシクル展」は、個人的に好きな自転車イベントです。ビルダーさんはもちろんですが、ニッチな情報やネタがあちこちに転がっているので、これまで何度も足を運んでいます。
11月ぐらいだったでしょうか。「2021年はLa routeでも取り上げようね」なんて話を安井としていた矢先に中止が発表され「まあそうだよなー」と思っていたんですが、ここにきてオンラインで開催するとのこと。詳しくはこちらを。
「ハンドメイド」と「デジタル」という方向性の違うキーワードの組み合わせに違和感を覚えたりもするわけですが、どんな感じになるのかちょっと楽しみ…いや、グダグダにならないか心配でもあるんですが。
コロナになってみなさんの生活に大きな変化があったのと同じく、僕らメディア側にも大きく変化がありました。一番は「取材がしにくくなった」こと。1回目の緊急事態宣言のときは、自動車メーカーが広報車両の貸し出しを一時期やめたりもしたそうなので、新車レビューをメインにしている自動車媒体は相当に大変だっただろうなぁと。もちろん僕らもメーカーや工場関連の取材はすべてお断りされました。リモートなら可能…とも相談されたんですけど…。
たとえば今回のハンドメイドバイシクル展も、オンライン開催を取材しても面白くなる気がまったくしないんです。その場の温度感、そこでしか聞けないビルダーさんとの対話が一切なくなるから。それはつまり、現場でどういう切り口で何を取材・撮影して記事にするかに、メディアとしてのひとつの価値があるのではないかと。
いま、Zwiftが盛況なのでやってみようと思ったりするんですが、そこまで興味がない、というのがホンネ…。あ、メンバーの藤田はやっているみたいなので、今度彼に詳しく聞いてみようと思います。いまは「eスポーツ」って言葉があるぐらいですしね。
でも、もしこの流れが加速するなら、Zwiftをはじめとする「バーチャルサイクリング専用車」が各社から出てきそうですね。バーチャルサイクリングに空力や重量は関係ないので(たぶん)、リアルを走るロードバイクと設計思想はまったく変わってくるでしょうから。
コロナ禍になって気づいたこと。それはいろんな場所に行き、いろんな人に会って話を聞くのが僕は大好きだということ。テクノロジーの進化で便利な世の中にはなっていますが、人の温度感や佇まいみたいなものまでが伝わる時代は果たしてやってくるんでしょうか。
(栗山晃靖)
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