ラルート調べ隊/タマサイのふしぎ編 │入り乱れる交通ルール。足並みがそろわないのはなぜ?
自転車に乗っているといろんな場面で、「なんで?」と感じることはないでしょうか。新連載「ラルート調べ隊」では、サイクリストの皆さんがふと抱く、でもスルーしがちな素朴な疑問や謎を解き明かします。記念すべき第1回は自転車好きライター石井 良が、全国的にも名高く“自身の庭”ともいうべき「タマサイ」にまつわるふしぎに迫る…!
2021.06.25
誰も書かなかった自転車ヘルメット着用努力義務化の闇
カスクは「ヘルメット」か?
2023年4月から自転車乗車時のヘルメット着用努力義務化が始まり、世間では自転車ヘルメットに注目が集まった。じつは欧米ではあまり普及していない、などのネガティブな側面はあるものの、まだ「努力」義務だということだろうか市民からの大きな反発もなく、ヘルメットが極端に品薄になるということもなかったようだ。そんななか、テレビの「タレントの◯◯さんが一日署長を務め、道行く人たちにヘルメット着用を呼びかけました」なんていうニュースを、「まあ、いいことだよねー」と思いながら見ていた元自転車雑誌編集長の岩田淳雄さん。あることが気になって調べてみたら、意外な事実にぶち当たってしまったそう。果たして、自転車用ヘルメットと一言でいっても明確な基準はあるのだろうか。カスクは? アゴひも付き野球帽は? その実態を探るべく警察庁、ヘルメットメーカー、そして製品安全協会に疑問を投げかけてみたが……。
「カスクはいいのかな?」
そう思ったのがきっかけだった。
今年(2023年)の4月から自転車乗車時のヘルメット着用が努力義務化された。雑誌編集長時代はヘルメット着用を推奨する立場だったし、誌面に掲載する写真ではヘルメットはマストだった(今はベルとライトもマストです)。
いきなり余談で申し訳ないが、俺がサイクルスポーツからバイシクルクラブに移ったとき、「バイシクルプラス」という、以前あった「自転車生活」というカジュアル自転車ライフな雑誌の流れをくんだ姉妹誌があった。そこでは「クロスバイクやミニヴェロに女性が乗るときにヘルメットは似合わないよね。(バイシクル)プラスだけはヘルメットなしでもいいんじゃない?」みたいな風潮があったので、そこでもヘルメット着用を厳命した。
それほどヘルメット着用推進に対して熱心な俺。ヘルメット着用努力義務化を、諸手をあげて歓迎したのは言うまでもない。
しかしそこでムクムクと湧き上がった疑問が、「今回努力義務化された“ヘルメット”の範疇に、カスクは含まれるんだろーか?」というものだった。
La route読者ならご存知だと思うが、カスクとは合成皮革などでできた頭部保護帽。ヘルメットのない時代にはこれを被ってレースに出る選手もいた。カスクの安全性に関するデータを見たことはないが、現在のヘルメットと比べると見た目ははなはだ頼りなく、ちゃんとしたヘルメットに比べると、ないよりはマシという程度のもの。
このカスクは、警察が取り締まりを行う上でヘルメットとして認められるのか? あくまで努力義務だから、実際に取り締まりで注意されることもないんだろうけど、厳密にいうとどうなんだろう。
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自転車に乗っているといろんな場面で、「なんで?」と感じることはないでしょうか。新連載「ラルート調べ隊」では、サイクリストの皆さんがふと抱く、でもスルーしがちな素朴な疑問や謎を解き明かします。記念すべき第1回は自転車好きライター石井 良が、全国的にも名高く“自身の庭”ともいうべき「タマサイ」にまつわるふしぎに迫る…!
2021.06.25
アメリカの魅力的なブランドを多数取り扱うTKCプロダクションズ代表、森本禎介氏。ワールドワイドな視点でスポーツバイクシーンを俯瞰することができる数少ない人物であり、SNSでの歯に衣着せぬ発言でも知られる存在だ。そんな森本氏が、2023年4月20~23日にカリフォルニアで行われた世界最大規模のオフロード系自転車イベント、シーオッタークラシックに参加。そこで見て、聞いて、考えたあれやこれやを綴る。ロードとMTBの境界について。実店舗の存在意義について。メーカーとメディアとユーザーの在り方について。単なる報告に留まらない、森本節全開のレポート。
2023.06.26
スポーツバイクの高価格化が叫ばれる昨今。一昔前は100万円を超えるモデルが珍しかったが、今や105完成車でもその価格に達する時代だ。さらに、「納期未定・売るものがない」問題、「ケーブル内蔵による整備性・ポジション自由度低下」問題が折り重なり、ロードバイク界は混乱の最中にある。なるしまフレンドのメカニック小畑 郁が、編集長の安井行生とともに自転車業界のあれこれを本音で語る連載「メカニック小畑の言いたい放題」のVol.7は、そんな現代ロードバイク問題の渦中にいる小畑さんに、現状と解決策を聞く。
2023.03.27
自転車のまちとして知られる大阪府堺市で生まれ育ち、今やサイクルフォトグラファーとして世界を舞台に活躍する辻 啓。これまでも「ジロ・ディタリア」をはじめとする世界的なレースに幾度となく帯同し、写真を通じてロードレースの魅力を発表してきたが、そんな彼にとって、写真とは、自転車とは、ロードレースとは何なのか。辻 啓自身が本音で綴るフォト&エッセイ第1回は、“初期衝動だらけ”の青年時代を振り返る。
2021.05.17
社会派ジャーナリスト、アルベール・ロンドル(1884―1932)。生前、精神病患者の悲惨な境遇、黒人奴隷売買の実態、南米のフランス人女性売春などをルポルタージュし、社会に大きな反響を巻き起こすとともに社会改革のきっかけをつくり、後世のジャーナリストに影響を与え続けた人物である。そんな彼が、1924年にあるテーマについて取材を行った。読者の皆さんもご存知の「ツール・ド・フランス」である。自転車競技についてまったくの素人である彼に、フランス全土を熱狂させていたこのスポーツイベントは一体どう映ったのだろうか――。アルベール・ロンドルが1924年6月22日~7月20日までの全行程5425kmの大会期間中に『ル・プチ・パリジャン』紙に寄稿したルポルタージュを、スポーツライターであり自身もフランス在住経験もある小俣雄風太の翻訳でお届けする。
2020.08.17
来年の事を言えば鬼が笑う、という故事がある。予測のつかない未来の話をしてもしょうがないという意味だ。しかし、今回はあえて未来の話をしたいと思う。「メカニック小畑の言いたい放題」vol.2のテーマは、もうすぐ発表されるという噂の新型デュラエース。互換性は? 変速システムは? スペックは? 現行デュラエースの要改善点含め、小畑さんに次期デュラエースを予想してもらう。
2021.02.01
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2022.08.01
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2022.01.10
R9100系から5年。遂に新型となるR9200系デュラエースがデビューする。12速化やワイヤレス変速といった機構で他社に先行されている今、シマノはデュラエースをどのように進化させたのか。8月中旬、和歌山の某所で行われた新型デュラエースのメディア向け発表会に編集長の安井行生が参加。前編ではシマノとの一問一答を通し新型デュラエースの設計意図を紐解き、後編では新型デュラエース搭載車を乗り込み、忌憚なき評価を下す。
2021.09.01
1921年に創業したシマノ。スポーツ自転車向けパーツシェアが8割を超えていることからも、シマノが自転車業界の中心的存在であることに異を唱える者はいないだろう。しかし、そんな自転車界の王者とも言うべきシマノにも挑戦者だった時代が、確かにあった。100周年という節目の年に、スポーツジャーナリストとして多方面で活躍する山口和幸が、シマノが挑戦者として歩んできたこれまでの軌跡を複数回にわたって辿る。第1回はエアロダイナミクスを追求したaxや社内に巨大な風洞実験室をつくるなど、機能路線を牽引した島野敬三にスポットをあてる。
2021.12.20
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2021.02.01
タイヤやホイールはもちろん、ステムやクランク一つ変えるだけでも自転車の印象は変化する。自転車はそれら複数のパーツの集合体であるがゆえ、セッティングの世界は奥深く、しかも正解がない底なし沼のようなもの。STAY HOMEな今だからこそ、その沼にはまってみてはいかがだろう。がっつり走りに行かなくても、近所を一回りするだけで「セッティングの探求」はできる。参考までに、編集長の安井が普段どのようにセッティングを煮詰めているかをお届けしようと思う。
2020.05.08
ホイールメーカー各社がロードホイールのディスクブレーキ化に四苦八苦している。特に、スポークパターンに制限があるコンプレッション構造ホイールが難しい。しかし、コリマはトップモデルであるMCCシリーズをディスク化してみせた。それはどんな方法で、どんな作りで、どんな走りになっているのか。コリマ・MCC WS+ DX 47mmチューブラーを題材に、ディスク時代の超高性能一体型ホイールのあり方を考える。
2020.09.28
U23世界選手権出場者、外資系金融機関のエリートサラリーマン、「Roppongi Express」のリーダーでありツール・ド・おきなわの覇者、そしてついには東京の目黒通り沿いに「RX BIKE」のオーナーに――。傍から見れば謎に包まれた人生を送る高岡亮寛さんは、一体何を目指し、どこへ向かっていくのだろうか。青年時代から親交のあるLa routeアドバイザーの吉本 司が、彼の自転車人生に迫る。
2020.05.30