人は自然と良いペダリングを実現している

多くの人は子どものころから自転車に乗っているが、いざスポーツサイクルに乗り始めると「良いペダリングとはなんだろうか? 正しいポジションとはなんだろうか?」ということが気になってくる。筆者は20代のほとんどを1秒でも速く自転車で走ることに文字通り心血を注いできたが、今でもそういう質問をされると「よくわからない」と返しているので、「何年自転車選手やっていたんですか」、とよく言われる。

Webや書籍を調べてみると、「ペダルは1時から3時のところでしっかりと回す」「身体がリラックスした状態を心がける」といった身体の動かし方についてのアドバイスや、「後ろ乗りにすると力が入りやすい」「サドル高は1mm単位で決める」といった自転車のセッティングについてのアドバイスなどを断片的に見つけることができる。

それらをもとに試行錯誤をすると、あるものは役に立つのだが、あるものは役に立たず、悪いことに「自分はうまくペダリングできていないのではないか、正しくセッティングできていないのではないか」という漠然とした不安をいつまでも解消できない人もいる。そんな声に応えるように、市場には「○○○フィット」というフィッティングサービスが数多く存在し、数時間の診断でこれらの問題を解消することができると謳うものもある。だが、果たして本当だろうか。

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セッティング探求のすゝめ

タイヤやホイールはもちろん、ステムやクランク一つ変えるだけでも自転車の印象は変化する。自転車はそれら複数のパーツの集合体であるがゆえ、セッティングの世界は奥深く、しかも正解がない底なし沼のようなもの。STAY HOMEな今だからこそ、その沼にはまってみてはいかがだろう。がっつり走りに行かなくても、近所を一回りするだけで「セッティングの探求」はできる。参考までに、編集長の安井が普段どのようにセッティングを煮詰めているかをお届けしようと思う。

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2023.01.11

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辻 啓のSakaiからSekaiへ(Vol.01)| 人生を変えた、トスカーナの一本杉

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2021.06.28

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辻 啓のSakaiからSekaiへ(Vol.03)| ツールの裏側で繰り広げられる、もうひとつのレース

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