曖昧なイメージ

スペシャはこんなメーカー。トレックはこんな感じ。ピナレロはこう、コルナゴはこう。デローザは、ジャイアントは、ビアンキは、キャニオンは……。最先端。真面目。華やか。レーシー。クラシック。ストイック。クール。洗練。豪華。高級。創業者の情熱。有名な成長ストーリーに歴史と伝統。規模が大きなメーカーは、どれも特有のイメージを纏っている。きりりと明確な一つの像が浮かび上がる。

メリダはどうだろう。最先端かもしれないし真面目でもあるしレース活動も盛んだし、華やかで豪華ではないかもしれないけれど、コスパに振り切ったというわけでもないし、歴史と伝統が豊富という印象もないし……。
どうにもイメージが焦点を結ばない。ピントが合わない。ここまで規模が大きいのに、バーレーン・ヴィクトリアスというチームがあり新城選手も乗ってるのに、国内ではブリッツェンも健闘してるのに、脳内に投影される像がなぜか漠然として曖昧模糊あいまいもこのまま。自転車業界に身を置いて長く、しかも一度はスクルトゥーラの走りに惚れて所有していたことがある筆者でさえそうなのだ。一体なぜだろう。

そんなことを考えながら、早朝に都内を出発して、朝8時すぎにたどり着いたのは、伊豆のへそ。その変わった施設名の通り、伊豆の国市のほぼど真ん中にある道の駅である。そこに併設されているのがメリダXベース。メリダが運営するサイクリング施設である。ここで行われる新型サイレックスの発表会を含んだ試乗会、メリダ・プレスミーティングにLa routeもお呼ばれしたのだ。ここでメリダの2024シーズンのロード系モデルに一気乗りし、メリダというメーカーをもう一度見つめ直してみたい。

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