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「万能ロード比較試乗」編集後記

これら新世代万能ロードに乗って強く感じたのは、「最適化」というキーワードでした。よくよく考えれば、何一つとして新しい技術は使われてないんです。ロードに初めてカムテールが使われたとか、斬新な可動機構が盛り込まれたとか、グラベルロードという新しいカテゴリーが誕生したとか、そういうことではありません。カムテール、ケーブル内蔵システム、コンパクトリヤ三角によって柔軟性を上げたシート周り。それら既存の技術を組み合わせて条件に対して最適化しただけ。それが新世代万能ロードです。しかし、その最適化レベルが非常に高い。だから注目したんです。 エンジニアは相当頑張ってる。そう思います。2010年代、乗り物としての根幹を揺るがすような変化がいくつもあったにもかかわらず(エアロの波やディスクブレーキ化やワイドタイヤ化など)、肝心要の走りがグズグズになったのは最初の数年のみで、すぐに走行性能を磨き上げ、トップモデルに関しては今やどれもビシッと走るようになっています。 今回集めた5台も、指摘できるような欠点はありませんでした。“忖度なし~”と謳って始まったこのLa routeに罵詈雑言の嵐を期待されていたとしたら、申し訳ありませんと言うしかありません。 そのかわり(?)、個人的に不満の残る2点をしつこく指摘しました。最適化というなら、ここだけ最適化レベルが低い。果たしてこれは技術屋がやりたかったことなんでしょうか。マーケティング屋の御託(「ケーブル内蔵にしないと売れない時代ですよ」とかなんとか)とデザイナーの暴走(「カムテールにしてシートクランプ埋め込んだらスッキリするしナウいしクールだぜ」とかなんとか)の結果……という気がしないでもありません。もしそうだとしたら、下らない流行です。さて。実は、このメディアを始めるにあたって一番の懸念だったのが、「モノを借りられるのか」なんですね。「忖度しません好き勝手書きます」なんて言ってるメディアに、大事な試乗車を貸してくれるのだろうか―。でも、意外なことに各代理店は電話一本でハイエンドバイクを快く貸してくれました。

2020.04.24

    「プレスフィットBB」編集後記

    ずっと疑問に思っていたBBについて、2回に分けてがっつりと書いてみました。広告を入れないためメーカーに忖度する必要がない、というLa routeのメリットが活きたのが、<BBでフレームの剛性感は変わるのか>の続編である<プレスフィットの光と影>です。グロータック木村さんに全面的にご協力いただいて完成した記事ですが、よく読むと結構ひどいことを書いてます(笑)。やっぱ技術者の視点が入ると違いますね。 そうそう、一つお伝えしたいことがあります。この会員制メディアを始めるにあたって、「文章のコピペをできないようにしたほうがいいのではないか」という意見が出たんです。まぁ当然ですよね。コピーされてどっかに転載されては、有料にした意味がなくなっちゃう。でも、「それはやめてほしい」とお願いしました。 このLa routeの原稿には、専門的な単語がたくさんでてきます。既存メディアだと「説明を追加してくれ」とか「もっと優しい表現に変えてくれ」「難解な単語は使わないでくれ」と言われたりします。これも当然ですね。不特定多数の読者を想定しなければならないためです。 でも、La route読者の皆さんは知識欲旺盛な方々でしょうから、僕はあえて専門用語を使いますし、できるだけ漢字で書きたいと思っています。 そこで、テキストのコピーができるようにしておけば、分からない部分を選択してパッと検索することができます。コピー不可にすると、それができなくなってしまいます。 なので、分からない単語などがあったら、ぜひどんどん検索してください。コピペされて転載されたら……という心配は僕はしてません。会員の皆さんを信頼していますから。 (安井行生)

    2020.04.24

      テクニカルアドバイザーの木村将行さんについて

      La routeの立ち上げにあたって、全面的に協力をお願いした人物がいます。 サイクルトレーナーなどを製作する「グロータック」代表の木村将行さんです。 今から10年近く前でしょうか、なるしまでイコールプーリーという小さなパーツを見つけたんです。カンパニョーロのレバー(当時は11速)に取り付けて、シマノの変速系統(当時は10速)で動かすという、いわゆるシマニョーロを実現する素晴らしき変態パーツ。アメリカかどっかの片田舎にいるマニアおやじの手作りだろ、と思ってたら、なるしまの店員さんが「それ作ってるの日本人ですよ」とか言うわけです。しかも川崎の多摩サイ沿いに住んでるとか。 僕はそれなりの人見知りなんですが、こんな面白いモノを作ってる人に会いに行かないわけにはいかない、と思いました。それが木村さん。 すぐにグロータックのHPからメールを送ってアポを取って、話を聞きに行きました。そのときのイコールプーリー開発秘話ががめちゃくちゃ面白かった。機会があればここでも再掲したいと思います。 で、木村さんの経歴を簡単に紹介すると、某大手電機メーカーで半導体製造装置開発・特殊ロボット開発などの開発設計業務、製造技術・量産技術等の製造に関わる業務、ソフトウェア・Webシステム開発等々のIT業務、経営企画・スマートフォン商品企画・PC向けのサービス企画・サービス開発などの業務……と、なんだかすごいことをやってこられた方。2009年に自転車好きをこじらせて(笑)、グロータックを設立されます。 自転車歴はというと、中学生のときにスポーツバイクに乗り始め、学生時代はトラック競技でインターハイ、国体などに出場。社会人になりオートバイのレースなどに浮気をされますが、2003年に自転車レースを再開。なるしまフレンドに所属し、ツアー・オブ・ジャパン、ツール・ド・熊野を何度も完走、ツール・ド・おきなわ国際上位入賞数回、シクロクロス全日本選手権12位などなど、こちらもホビーレーサーとしてはかなり速い部類の人。 グロータック設立を機にレース活動からは距離を置かれていますが、ただ「数字だけの人」「頭脳だけの人」ではなく、「自転車乗りの感覚」も持ち合わせているところが素晴らしい。「工学、物理、数字、機械」の面からも、「人間、感覚、楽しさ」の面からも、物事を捉えられる人です。だからこの人にLa routeのテクニカルアドバイザーをお願いしたい、と思いました。 一応言っておきますが、協力してもらっているからといって、グロータックの製品を無理に褒めるなんてことはしませんし、木村さんも「ウチの製品をよく言ってもらおうなんてこれっぽっちも思ってません。もし今後グロータックの製品をレビューしていただくことがあったとしても、悪いところは悪いとちゃんと書いてほしい」と言ってくれています。 今後、自転車関連の物事を技術的に深堀りするときには、木村さんにご協力をお願いする予定でいます。 (安井行生)

      2020.04.24