DAY3:聖地ムクティナートへ決死の旅

起床してまずはホテルで朝食。
パンと卵とカレー味のじゃがいも炒め。なぜか卵の焼き方をこと細かく選ばされた。
ネパールのホテルでの朝食は全部このパターンだ。

朝食を済ませてタクシーで空港に向かう。
乗るのは8時15分の便だが、1時間前には空港に着いていた。

自転車は、粛々とスタッフが手で運んでくれた。ANAかなってくらい丁寧。

航空会社の受付にはまだ係員がいない。
あたりを見回すと、同じ便に乗りそうなネパール人を発見。
彼はジョムソンに里帰りするそうで、どうやらこの便に乗るのは僕たちふたりだけかもね、なんて話をしていた。

8時になって係員がようやく現れた。荷物を預けてチケットをもらう。
すると係員はまたいなくなり、さらに30分が経過。誰も来ない。
一緒の便になるネパール人の彼と「うーむ」と顔を見合わせる。

1時間経過してさすがに不安になってきた。ちょうど係員が見えたので聞いてみると、自分たちも遅れているとしか聞いてない、何時に飛ぶのかは分からない、とにかく待っててくれ、とのこと。

まぁそんなものかと思ってコーヒーを飲んでいると、わらわらと数人が搭乗口のほうに入っていったので、なんとなくその流れに乗ってみた。
ただ、そこでもまた待たされる。
するといきなり係員が「もうすぐ出発だ!」と言って、まだ搭乗口に来ていないお客を探しはじめる。そのお客たちはどうやら2階のカフェにいたようで、係員が連れてきてすぐに飛行機に乗せた。

ここまでで一度も、館内にアナウンスは流れていない。
狭い空港ということもあり、乗るべきお客が搭乗口に来ていなければ、係員のほうが探しに行くシステムのようだ。
出発が2時間も遅れたのはおそらく、朝イチの便に乗るのが僕含めてふたりしかいなかったから。次の便に乗るお客と合わせて出発させたかったんだと思う。

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