メカニック小畑 の言いたい放題(Vol.3) 今、最も優れているタイヤシステムは?
なるしまフレンドのメカニック小畑 郁が、編集長の安井とともに自転車業界のアレコレを本音で語る連載対談企画。定番のクリンチャー、人気のチューブレス/チューブレスレディ、話題のフックレス、そして古のチューブラー。どのホイール/タイヤシステムが優れているのか。フックレスは普及するのか。第3回目は、性能、脱着性、汎用性、ユーザビリティを含め、様々な角度からホイール/タイヤシステムを考える。
2021.03.08
Panaracer AGILEST 試乗記
世界との乖離を埋めるため
ここまで話題になったタイヤは近年珍しいかもしれない。パナレーサーの新作、アジリスト。これまでパナレーサーのレースシリーズは、強烈なグリップや独自の味付けがレーサー達に支持されていたものの、その方向性は世界の潮流とやや乖離するものだった。トレンドをがっちり掴んだグラベルキングとは、あまりに対照的。このままではロードタイヤカテゴリで孤立してしまうのでは……。そんな心配すらしていたときにデビューしたアジリストは、どんなタイヤに仕上がっているのか。全ラインナップを一気乗りした安井のレビュー。
パナレーサー。それは走り屋が全幅の信頼を寄せるレーシングタイヤの作り手だった。
パナレーサーのロード用タイヤが、それまでのバリアントというモデル名からレースシリーズになったのは2010年。万能のレースA、軽量モデルのレースL、耐久性重視のレースDという目的別の3モデルが用意され、トレッド中心を尖らせるオールコンタクトトレッドシェイプ、天候を問わず高いグリップを発揮するZSG(ゼロ・スリップ・グリップ)コンパウンドなどが特徴とされた。
AとDは23Cと25C、Lは軽さを重視して20Cと23Cというサイズラインナップ。2012年にはAにチューブラーが加わる。
この初代レースシリーズは、ナロー時代のレーシングタイヤとして高い完成度を持つタイヤだった。
前作バリアントと比較すると、ハイグリップタイヤに特有の“ベタつき感”が減った。あるプロ選手は「タイヤには転がり抵抗よりもグリップを求める。転がり抵抗が大きくてもライダーが頑張ればいいだけだが、グリップは頑張ってもどうにもならない」と言っていたが、最高レベルのグリップはそのままに、無駄に頑張らなくてもすむタイヤに進化していたのだ。
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2021.03.08
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2021.02.08
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2020.05.08
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2020.11.23