ANCHOR RP9開発憚|背景にある愛情と狂気
コロナの影響でなかなか実現しなかったアンカー・RP9開発者インタビューが、やっと叶った。日本のメーカーだから、近くて簡単に取材できるから、なんていう消極的な理由ではない。RP9を見て、乗って、考えた結果、これはなにがなんでも開発者に話を聞かねば、と強く思ったのだ。あの走りは意図されたものなのか。もしそうなら、どうやって実現したのか。ブリヂストンサイクル上尾工場内のカーボンラボにて、RP9の秘密に触れた。
2021.11.22
Alexrims RXD2誕生秘話
「安くてウマい」を目指して
アレックスリムズのRXD2……といっても、ピンとこない人も多いはずだ。アルミリムのディスクロード用ホイールで、前後で実測1420g、税込み8万円弱。あぁ、なかなか軽いね。そういう感じだろう。しかしこれは、日本の代理店であるライトウェイプロダクツジャパンがアレックスリムズに要望を出して作られた、日本オリジナルホイールなのである。それが生まれた背景と、それに込められた想いを知ることは、これからのロードバイクを考えるうえで決して無駄にはならない。そう思い、RXDの2誕生ストーリーをお届けする。
フェルトやGTなどの製品を輸入・販売する代理店、ライトウェイプロダクツジャパンに、小枝指 諒さんという爽やかな人がいる。
中学生でスポーツバイクに乗り始め、高校のときにバイトをしてロードバイクを購入。大学時代は自転車にキャンプ道具を積んでよく旅に出た。実家から近かったこともあり、毎週のように箱根旧道を上ったという。その経験が「人生の中で大きな要素になった」と言うほどのヒルクライム好きになった。それが高じてライトウェイプロダクツジャパンに新卒で入社したという、その中には熱いものを抱える人である。
その熱さが形になったのが、アレックスリムズ・RXD2というホイールだ。
台湾のリム・ホイールメーカー、アレックスリムズのRXD2は、小枝指さんがオファーをして生み出された、日本発案の製品なのである。
今回は、そのプロセスを記事にしようと思う。
ただ最初に言っておくが、小枝指さんは純粋な技術者ではないため、今回の記事に、技術の力で工学的な障壁をなぎ倒しながらもの作りに邁進する……というエンジニアリング的ドラマはない。これを読んでも中島みゆきの唄は聴こえてこない。
しかし、ミドルグレードのディスクロードの走りとコストに問題意識を持ち、それを真正面から捉え、担当する海外メーカーに交渉し、その問題を解決すべく動いた人がいたこと、そしてその問題を解決できるかもしれない一つの商品が生まれたことは、事実として知っていてもいいのではないかと思うのだ。
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コロナの影響でなかなか実現しなかったアンカー・RP9開発者インタビューが、やっと叶った。日本のメーカーだから、近くて簡単に取材できるから、なんていう消極的な理由ではない。RP9を見て、乗って、考えた結果、これはなにがなんでも開発者に話を聞かねば、と強く思ったのだ。あの走りは意図されたものなのか。もしそうなら、どうやって実現したのか。ブリヂストンサイクル上尾工場内のカーボンラボにて、RP9の秘密に触れた。
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2021.05.31