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デイズ


「プレスフィットBB」編集後記

ずっと疑問に思っていたBBについて、2回に分けてがっつりと書いてみました。広告を入れないためメーカーに忖度する必要がない、というLa routeのメリットが活きたのが、<BBでフレームの剛性感は変わるのか>の続編である<プレスフィットの光と影>です。グロータック木村さんに全面的にご協力いただいて完成した記事ですが、よく読むと結構ひどいことを書いてます(笑)。やっぱ技術者の視点が入ると違いますね。 そうそう、一つお伝えしたいことがあります。この会員制メディアを始めるにあたって、「文章のコピペをできないようにしたほうがいいのではないか」という意見が出たんです。まぁ当然ですよね。コピーされてどっかに転載されては、有料にした意味がなくなっちゃう。でも、「それはやめてほしい」とお願いしました。 このLa routeの原稿には、専門的な単語がたくさんでてきます。既存メディアだと「説明を追加してくれ」とか「もっと優しい表現に変えてくれ」「難解な単語は使わないでくれ」と言われたりします。これも当然ですね。不特定多数の読者を想定しなければならないためです。 でも、La route読者の皆さんは知識欲旺盛な方々でしょうから、僕はあえて専門用語を使いますし、できるだけ漢字で書きたいと思っています。 そこで、テキストのコピーができるようにしておけば、分からない部分を選択してパッと検索することができます。コピー不可にすると、それができなくなってしまいます。 なので、分からない単語などがあったら、ぜひどんどん検索してください。コピペされて転載されたら……という心配は僕はしてません。会員の皆さんを信頼していますから。 (安井行生)

2020.04.24

    テクニカルアドバイザーの木村将行さんについて

    La routeの立ち上げにあたって、全面的に協力をお願いした人物がいます。 サイクルトレーナーなどを製作する「グロータック」代表の木村将行さんです。 今から10年近く前でしょうか、なるしまでイコールプーリーという小さなパーツを見つけたんです。カンパニョーロのレバー(当時は11速)に取り付けて、シマノの変速系統(当時は10速)で動かすという、いわゆるシマニョーロを実現する素晴らしき変態パーツ。アメリカかどっかの片田舎にいるマニアおやじの手作りだろ、と思ってたら、なるしまの店員さんが「それ作ってるの日本人ですよ」とか言うわけです。しかも川崎の多摩サイ沿いに住んでるとか。 僕はそれなりの人見知りなんですが、こんな面白いモノを作ってる人に会いに行かないわけにはいかない、と思いました。それが木村さん。 すぐにグロータックのHPからメールを送ってアポを取って、話を聞きに行きました。そのときのイコールプーリー開発秘話ががめちゃくちゃ面白かった。機会があればここでも再掲したいと思います。 で、木村さんの経歴を簡単に紹介すると、某大手電機メーカーで半導体製造装置開発・特殊ロボット開発などの開発設計業務、製造技術・量産技術等の製造に関わる業務、ソフトウェア・Webシステム開発等々のIT業務、経営企画・スマートフォン商品企画・PC向けのサービス企画・サービス開発などの業務……と、なんだかすごいことをやってこられた方。2009年に自転車好きをこじらせて(笑)、グロータックを設立されます。 自転車歴はというと、中学生のときにスポーツバイクに乗り始め、学生時代はトラック競技でインターハイ、国体などに出場。社会人になりオートバイのレースなどに浮気をされますが、2003年に自転車レースを再開。なるしまフレンドに所属し、ツアー・オブ・ジャパン、ツール・ド・熊野を何度も完走、ツール・ド・おきなわ国際上位入賞数回、シクロクロス全日本選手権12位などなど、こちらもホビーレーサーとしてはかなり速い部類の人。 グロータック設立を機にレース活動からは距離を置かれていますが、ただ「数字だけの人」「頭脳だけの人」ではなく、「自転車乗りの感覚」も持ち合わせているところが素晴らしい。「工学、物理、数字、機械」の面からも、「人間、感覚、楽しさ」の面からも、物事を捉えられる人です。だからこの人にLa routeのテクニカルアドバイザーをお願いしたい、と思いました。 一応言っておきますが、協力してもらっているからといって、グロータックの製品を無理に褒めるなんてことはしませんし、木村さんも「ウチの製品をよく言ってもらおうなんてこれっぽっちも思ってません。もし今後グロータックの製品をレビューしていただくことがあったとしても、悪いところは悪いとちゃんと書いてほしい」と言ってくれています。 今後、自転車関連の物事を技術的に深堀りするときには、木村さんにご協力をお願いする予定でいます。 (安井行生)

    2020.04.24

      「ビルダー対談」編集後記

      対談時間は3時間以上。文字起こしをしたらトータル1万5000文字。思い切ってそれを全部載せちゃいました。もちろん発言の順番などは多少調整してますし、補足的に内容を足したりもしてますが、ほぼノーカット。これ、従来のメディアでは到底不可能な文章量です。例えば雑誌だと、ページデザインにもよりますが、1万5000文字って十数ページになってしまいます。対談を延々十数ページ続けるなんて普通なら考えられない。 それに、こういう対談に限らずですが、ライターは職業病的に原稿を「キレイにまとめようとしちゃう」ものなんです。起承転結を考えて、話を無理矢理にでも美しく着陸させようとしちゃう。例えば「彼らはこれからも、きっと素晴らしいフレームを作ってくれることだろう」とかなんとか。 でも今回はそうしませんでした。よくある「ビルダー礼賛」「モノづくり礼賛」になんかしたくなかったし、意見がぶつかってるところもマイルドに丸めたりなんかしませんでした。よく読んでいただけると分かると思いますが、実は各人の哲学が衝突して静かな火花を散らしてます。でも、その生々しい会話のそのままを掲載しました。テーマが唐突に変わったり終わったりもしてるし、分かりにくいところもあると思います。 なぜかというと、僕はこの記事を通して「何かを伝えよう」となんてしなかったから。面白い4人のビルダーに集まってもらったらこんな会話になった、その事実がそのまま残ればいい。そう思ったんです。 いかがでしたでしょうか。 (安井行生)

      2020.04.24

        「タイムに願いを」編集後記

        タイムって、なぜか神格化されるメーカーですよね。それは主に編み込み&RTMという独自の製法を自社工場で行っていること、そして独得の乗り味を備えていることが理由でしょう。もちろん、流行からは一人離れてどこか超然とした雰囲気や、ハイエンド主体という潔いラインナップも一因かもしれません。 それに影響されるのは自転車ライターも一緒で、タイムの新型車となると誰もがなにか特別なモノに接するように慎重な姿勢で、かつ無条件に絶賛するのがお約束、というのが現状です。それを少しでも変えてみたくて、あえてちょっと厳しいことも書きました。 この原稿を読んだLa routeディレクターの栗山が一言。 「でもこれって、見方によっては安井さんのタイムへのラブレターですよね」。 というわけで、タイトルは「星に願いを」からアイディアをもらいました。 さて、このサイロン。結果から言うと、手放しました。やはりペダリングフィールとハンドリングが好みではなく、自転車人生における「俺の一台」にはならなかったのです。でも、サイロンのことだけを考えていた数カ月、パーツアッセンブルや乗り方などをシコシコを煮詰めていた数カ月が無駄な時間だったとはこれっぽっちも思いません。それは僕の自転車人生において、貴重な知見となったからです。 タイムというメーカーの方向性と苦悩。密かに腐敗していたジオメトリ。フォークオフセットとハンドリングの関係性。高剛性エアロロードと各種ホイールとの相性。プレスフィット系BBの構造がフレーム剛性に与える影響……などなど。BBに関しては、これがきっかけで記事を2本書きましたし。 で、サイロンを手放したことで再び得たお金がどうなったのかというと、この僕が大人しく貯金なぞできるわけもなく、再びタイムに化けてしまうのでした。アルプデュエズ21のディスク版を買ってしまったのです。 それについては、このLa routeで長期レポート的にお伝えできればいいなと思っております。 しかし、タイム、大丈夫かな……。なんとか持ちこたえて、素晴らしいフレームを作り続けて、我々を再び唸らせて欲しいものです。 (安井行生)

        2020.04.24