1月はルック・785の走行距離が伸びました。
きっかけは、元旦の自転車いじりです。

2022年の年明けを迎えてすぐの夜中。家族は寝ちまったし、つけっぱなしのテレビの中ではタレント達がバカ騒ぎしてるしで、なんか仕事もする気になれず、新年早々自転車いじりをすることに。なぜか僕は年明けを迎えると自転車をいじりたくなる習性があるんです。

手にしたのはルックのZEDクランク。
数年前に購入した785ヒュエズRS ZEDに付属していたもので、左右のアームとシャフトを一体成型してしまったという、まさにカーボンの塊です。

このロード用としては唯一無二の完全一体型カーボンクランクを実現するために、自転車には不必要なほどの大径ベアリングを採用した結果(ベアリングを大径にしないとクランクをフレームに通すことができない)、汎用性の皆無や150mmを超えるQファクターなど、いくつものデメリットを抱えることになります。
しかし、その剛性と軽さのハイレベルな両立も唯一無二。生真面目なメーカーには決して真似ができないであろうルックらしい設計に驚いたものです。

ZEDクランク仕様のルックを買うのはこれで2台目。1台目は695SRで、過大なQファクターに違和感が拭えず、さらに劣悪な整備性や変速性能に手を焼いて、アダプターをかましてシマノクランクで走ってました。大先輩の自転車ライター氏に「勿体ない。695はあのクランクで乗らなきゃ」などと言われたりもしたが。

それなのに785でもZED仕様を買ってしまったのだから(785にはノーマルクランク仕様も用意されてましたし、そっちのほうが10万円も安かった!)、自分でも何を考えてるのかよく分かりません(笑)。

案の定、785でもQファクターに加えその剛性感に脚を跳ね返されてしまい、こりゃ自分の手(脚)には負えん、と判断。せっかくZED仕様を買ったのにZEDクランクはすぐに外してしまい、ウィッシュボーンのアダプターかましてカンパのクランクにしてました。カンパのクランクで走るとZEDクランクに比べて驚くほどバイクの剛性感がマイルドになり、乗りやすくなったものです。

外したZEDクランクは自転車部屋の片隅で埃をかぶっていたのですが、数年ぶりに785に再インストールしてみようかと考えまして。発端は、先のDAYSにも上げましたが、ハシケンさんとの対談の撮影に使うため、久々に785に乗ったこと。
せっかくだから、とライトウェイトのヴァントゥー(ライトウェイトが持つイメージに反して、それほど硬いホイールではありません)を後輪につけていったんですが、パワーの入力点(カンパのクランク)と出力点(ヴァントゥー)が両方ともソフトなので、あれほど硬くて閉口した785が、それほど硬く感じられなかったんです。そこで、「ZEDクランクとヴァントゥーを組み合わせたらどうなるんだろ?」と思ったわけです。

785からスーパーレコードのクランクを外し、ウィッシュボーンのBBを外し、すさまじくデカいベアリングを圧入し、ZEDクランクをなんとかかんとか取り付け終わったのは、2022年の1月1日の午前3時頃。新年早々お手々をグリスだらけにして何やってんだか。

フロント変速の調整に手間取りつつ完成させたものの、1日と2日は初詣やらなんやらで乗れず。走り初めができたのは3日。走り納めと同じ半原越えに行こうと思ってましたが、年始特有のあれやこれやがあり、いつしか昼過ぎに。時間もないので、近所の練習コースを回ることにしました。前輪はニュートロンのチューブラー、後輪はヴァントゥーという、“クライマーの正装”で、尾根幹、多摩動物公園周辺、小山田周辺と、短い登坂が断続的に現れるコースを2時間ほど。気持ちよく追い込めました。

このZEDクランク×ヴァントゥーという組み合わせは大当たりで、785らしい切れ味と上りでの軽快感は薄まっていないものの、ヴァントゥー特有の上品な軽やかさが785の刺々しさを丸めてくれて、短距離登坂用自転車としてはかなりいいバランスになりました。カンパクランク×ヴァントゥーの組み合わせより、登坂での軽快感は確実にアップします。

Qファクターはやっぱり気になりますが、これを買った当時とは違い、今はこれをメインバイクにはしていません。短時間なら我慢できると判断しました。ZEDクランクをカンパで動かそうとすると、フロント変速にかなり気を遣うんですが、登坂メインならこれも我慢できる範囲。

せっかくZEDに戻したのだから、と色んなホイールで試しましたが、運動性能を維持したまま、785&ZEDクランクの刺々しさを緩和してくれるのはヴァントゥーだけでした。ロードバイクのバランスは繊細なんですね。中距離以下のヒルクライム専用車として、785はこのアッセンブルが最終回答かもしれません。

(安井)