「La routeさんにご迷惑がかかるんじゃないのかなと……」

野村さんは、La routeでのむラボのことを取り上げるに際して、こう僕らのことを心配してくれてました。まぁぶっちゃけるとその心配がないわけではありませんでしたが(笑)、なぜしっかりと記事にしようと思ったのか。
お話をお聞きしている中で、芯が一本通ってる人だということが分かったからです。

のむラボを訪問した日のこと。野村さんと話をしていたら、ボーラの前輪を持った若者が来店しました。先週末のレースで前走者とハスり、スポークが切れてしまったのだそう。

「1、2、3……交換が必要なのは4本やな。4本やったら在庫あるわ。よかったな。ちょっと待っとき」

しかし、スポークを数本交換したところで、「あ、これアカンわ。リムがいってもうとる」
よく見ると、曲がったスポークがリムをわずかに食い破っています。作業は進んでいましたが、交換したスポークを戻して、「残念やったな」と一言。

若者が「あの、お代は……」というと、「いらんいらん。最初によく見て気づけばよかった。悪かったな」

若者が帰ったあと、野村さんはちょっと悔しそう。

「あれ(リムが割れていたこと)に気づかんかったのは僕のスカタンや。最初に気づいてたら2秒で『これは無理です』と言えたのに」

成功報酬なんですね、と言うと、「うちはそうやってる。直ってないのにお金とったらかわいそうや。でもホイールを見たことによって技術料が発生する、というお店があったとしても、そのお店に『おまえんとこはこれで金とるんかい!』とは言わへん。それはそこの商売の仕方や。定価以上の値段で売るのはあかんけど、診断した以上技術料が発生します、という考えももちろんある。そこに異を唱えることはない」

自分と考えが違う人に手当たり次第に噛みつく人ではないんです。不器用なうえに口は悪いので敵はいるでしょうが、筋の通し方ははっきりしてると感じました。だから多少のリスクはあっても、記事にするべきだと判断したのです。

あ、そうだ野村さん。
今度、ウチに転がってるボントレガーのカーボンリムで後輪を1本組んでください。レースXXXライトのクリンチャーです。2004年くらいのリムかな。あと、グラベルバイク用のホイールの振れ取りとチェックもお願いしようと思ってます。そのうち送りますんで、どうぞよろしく。業務連絡でした。

(安井行生)