先日公開した「僕らを悪路に連れてって」のロケで、まるで仕込みのようにキレイにグラベル遊びにはまりまして、まぁ当然のこととしてグラベルロードが欲しくなるわけです。

しかしハシケンさん同様、軸足はピュアロードです。グラベルロードにそこまでお金をかけるつもりも余裕もない。
20万内外の完成車買ってグロータックのキャリパー使って軽いレバーで組みなおして……などと考え、キャノンデールのトップストーンのアルミとか、ロケで乗ったレネゲードの下位グレードとか、定番のフジ・ジャリとかを候補に入れてましたが、パーツ構成や予算や在庫の問題が。ヤフオクなどもチェックしましたが、なかなかいい出物がない。

悶々としているうちに、「グラベル走れりゃとりあえずは何でもいいや」という心持ちにもなり。僕は多摩川の近くに住んでいるので、走りに行くときは一瞬多摩サイを走ることになります。すると、自然と多摩川ダートに目が行ってしまう。あー早くあそこ走りたいなぁ、なんて。
そんな折、仲間から「乗ってない古いグラベルロードっぽいバイクあるけどどう?」との知らせが。
「っぽい」ってなに「っぽい」って。

見に行くと、レモンのポップラッドディスクでした。おぉ、これはたしかにグラベルロードっぽい。レモンが作っていたポップラッドというシクロクロスバイクのディスクブレーキ版です。
「グラベルロード」はもちろん、「ディスクロード」なんて言葉も生まれてない時代、2006年とか2007年とかに出たモデルだったかと。フレームはトゥルーテンパーの高級スチールチューブ、OXプラチナ。

そこそこ傷のある中古ですが、惹かれたのはフォークとホイール。前オーナーがかなりいじっていたらしく、面白いパーツ構成なんです。

フォークは我がスカピンと同じくワウンドアップ。もちろんこちらはディスク仕様。このポップラッドディスクには、もともとボントレガーのサテライトエリートという、見た目がワウンドアップにそっくりなフォークが付いてたはずです。それはかなり剛性が低かったように記憶してます。この仕事を始めたばかりのとき、試乗車のフロントブレーキをかけてハンドルを前後にゆすってみると、フォークがたゆんたゆんとたわんでいるのがわかるくらい。

それをわざわざワウンドアップのディスク用フォークに交換してある。見た目はほとんど変わらないのに。なかなかマニアックなチューンナップです。直接比較してないので断言はできませんが、ワウンドアップにすると結構変わるのではないかと思います。
そしてホイールはマヴィックのクロスマックスXL(29インチ)。ジクラルスポークですよ。キャリパーはBB7。ちょっと乗ってみたくなるでしょう。

冷静に考えれば(冷静に考えなくても)欠点は多いんです。まずディスク台座がインターナショナルスタンダード。さらにコンポがシマノの黒歴史である6700系アルテ。そしてなによりリヤのエンド幅135mmのクイック(笑)。リヤ10段だし、時代遅れもいいとこですが、精神状態は「グラベル走れりゃとりあえずは何でもいいや」ですからね。スペシャのハイエンドシューズくらいの金額で売ってくれるっていうし。

迷ったふりをしていたら、コンチのレースキングCX2本付けた上に5000円値引きするっていうんで、買っちまいました。走ってダメだったらフォークとホイール売れば元とれるだろう、というみみっちい計算もしたりもしました。

死んでたヘッドパーツ入れ替えてシートポストとサドルとステムとハンドル交換してペダルをXTRにして、ケーブル全とっかえしてブレーキを右リヤにして駆動系整備して、このレトロな胴抜きカラーには全く似合ってなかったマヴィックのド派手なステッカーを迷わず全部剥がして、早速走ってきました、多摩川グラベル。うーんやっぱ楽しい。

お前はハイディーか? と思うくらいに持つと重く、タイヤ引きずってんのか? と思うくらいに舗装路では走りが重いですが、グラベルに入った途端に活き活きとし始めるのが面白いです。かなりしなやかなんですが、悪路ではそれがいい。タイヤをそのうちグラベルキングにしてみようかと思っとります。

唯一の懸念事項は、まだ嫁に言ってないこと。
ここを読んでないことを祈るばかりです。

(安井行生)