先日、渋谷で行われたキャノンデールの小径eバイク「Compact Neo(コンパクトネオ)」のメディア向け試乗体験会に行ってきました。

コンパクトネオは、キャノンデールの「E-Urban」と呼ばれるラインから登場した最新eバイクで、20インチタイヤを履かせた車体に電動ドライブユニットを搭載。このバイクのためにチューニングされた「ハイエナ」社製のドライブユニットはリヤハブに、バッテリーはダウンチューブにスリムに収められ、一見するとeバイクに見えないほどスタイリッシュな一台となっています。

実はこのバイク、昨年10月にメディアやショップ向けに開催されたキャノンデールのオンライン展示会で知って以来ずっと気になっていたんですよね……。

13時30分にはじまった試乗体験会。キャノンデール・ジャパンの樫村浩史社長のあいさつ、プロダクトマネージャーの秋吉 健さんによるマニアックだけど分かりやすいプレゼンテーションののち、試乗タイムへ。

まずはプレゼン会場の1階駐車場に整列したコンパクトネオから適当に一台を選択。実はコンパクトネオ、適応身長が140~185cmのワンサイズ展開なので、自分の体型にぴったり合うバイクがなかったり、体型が近い人と譲り合ったりする「試乗会あるある」とは無縁です。

クイックリリースでサドルを好みの高さに調整し、早速コンパクトネオにまたがります。小径車なのに心許ない感じがなくて、またがるとより安定感をおぼえます。ハンドル左側にあるコントローラー中央のボタンを押して電源をオン。上下の大きなボタンでアシスト力を3段階に切り替えられます。

操作ボタンは3つ。小さな三角形のボタンが電源のオン/オフ。五角形のボタンで走行モードの切り替えができます(上側のボタンは長押しで前後ライトのオン/オフも兼ねます)。真ん中の横長のライトは、緑=Low、黄色=Mid、赤=Highで現状の走行モードを明示。もうひとつ緑に光る縦長のライトはバッテリー残量を色で表すもの。その下、白く光っているライトは、赤くなったときがエラー警告。たいていのエラーは一旦電源を切って再起動すると解消するようです。

取り扱いを把握したところで、いざスタート。渋谷~代官山~中目黒周辺をぐるりとまわる今回の試乗コースは、急坂も多くてeバイクの実力を知るにはうってつけです。

コースの前半は目黒川を目指しての下り基調。どうしても車重が重くなるeバイクにとって「下り」は鬼門。ですが18kgというeバイクでは最軽量の部類に入る車重と油圧ブレーキのおかげで、下り坂での不安感は一切なし。いつも乗っているロードバイクと同じ感覚で安全に速度をコントロールできました。

ちなみに停止状態からの加速ですが、ペダルを踏み込んでからアシストが効きだすまでに微妙なタイムラグがあり、最初は「ん?」という感じでした。でもマーケティング担当の山本和弘さん曰く、「出だしからアシストを効かせすぎるとコントロールが難しくなり人や物にぶつかる可能性があるので、あえてタイムラグを設けているんです」とのこと。なるほど。

そしてコース後半のクライマックスは、目黒川にかかる朝日橋から旧山手通りまで駆け上がる上村坂。路面にドーナツ状のくぼみが施されたその坂の斜度はMAX17度。普段の僕ならパスするレベルです。

坂の手前の信号(赤)で息を整え、シグナルが青に変わるとともに勢いよく飛び出しました! と言いたいところですが、プレゼンで秋吉さんが「やんちゃ仕様になってます(笑)」と語るほどパワフルなドライブユニット。あえて口笛を吹きながらのんびりスタートしてみました。

すると、なんということでしょう。まあバイクが進む、進む。坂の後半にいくにつれどんどん斜度が上がるんですが、こっちの息はまったく上がりません。すいすい足を回していたら、もう旧山手通りに到着。ご覧ください、急坂を上ってきたとは到底思えない僕の表情を。

というわけで、20分ほどのチョイ乗りでしたが、コンパクトネオの実力は存分にわかりました。このバイク、めちゃラクで、めちゃ楽しいです。

実はこのところ、ロードバイクにがっつり乗れていなかった僕。むしろ最近の“ライド”といえば、シクロクロス世界選手権の期間中、拠点だったベルギー・アントワープで毎日乗っていたシェアサイクル「Velo Antwerpen」くらいのもの。

自転車専用レーンの整備と相まって、アントワープ市内の移動をとってもスムーズにしてくれた「Velo Antwerpen」。1週間12ユーロで乗り放題。コイツと巡ったアントワーププチ観光の様子は、また別の機会にお届けします。

でもそのせいか、前かがみのレーシーなポジションではなく、バーハンドル+アップライトな姿勢で気持ちよく街中を流す爽快感に目覚めていたところでした。だからなおさら、コンパクトネオには好印象を抱きましたね。

走りもいいんですが、ペダルが折りたためて、ハンドルもワンタッチで90度回転させられるので、広い駐輪・保管スペースも必要なし。全長は160cmで前輪もクイックリリースで外せるので、クルマにも積み込みやすくて旅先のアシにもできそう。

そしてこのスタイリングですよ。何度も言ってしまいますが、全然eバイクに見えないし、ゴツめのBMXタイヤとリヤのラックが醸し出すアウトドアライクな雰囲気もいい。省スペース設計な点も含めて、コンパクトネオは都会で生活する人にとって最高のモビリティな気がします。

生まれてこのかた東京暮らしの僕。我が家の駐輪スペースはジオスとアディクトで満車なんですが……3台目の相棒として真剣に欲しくなっちゃう一台でした。

(高山)