先日、サーヴェロのエアロロード「S5」のメディア発表試乗会にいってきました。今年のツール・ド・フランスでユンボ・ヴィスマの選手たちが乗っていたあのバイクです。ツールは例年以上に面白い展開だったので、毎日寝不足だった…なんて人も多いのではないでしょうか。

さて、S5。一見すると前作とほとんど変わっていないように思いますが、フォークやハンドルは旧モデルとの互換性ゼロで、フレーム形状含めたすべてを一新しています。細かな仕様に関しては後日公開の試乗記をご覧いただくとして…ラルートのツイッターで試乗会の様子をアップしたところ…

記事を書いている現時点で160いいねと、動画に関しては7,000回以上再生。La routeのフォロワーさんの数を考えると、いかに注目度が高かったかがわかります(あ、まだフォローしていない方はこの機会にぜひ)。

フルモデルチェンジしたことはもちろんですが、やはり多くの人が驚いたのはデュラのDi2組みで214万5,000円、スラムのレッド組みで220万円というプライスタグでしょう(ちなみにアルテDi2組みだと160万6000円、フォース組みで163万9,000円、フレームセットでも96万8,000円です)。

もちろん僕らも最初にその値段を聞いたとき「つ、ついにカンシャでニヒャクマン突破か…」と思わず声をあげてしまいました。自転車業界はコロナに端を発する原材料高や円安など、いろんな要因のコンボで値上げラッシュでしたが、その勢いはもはやとどまることを知りません。僕の現在の愛車であるスペシャのヴェンジが登場したとき、税込137万5,000円という価格に対してほうぼうから「たかっ! ついにヒャクマンオーバーかよ」という声があがっていたようですが、今となってはそれすら安く感じてしまうほど…。

昨今の値上げについてはいろいろと書きたいことや言いたいことがあるものの、いっぽうでメーカー側の苦悩も見え隠れします。

今年のツール・ド・フランスはサーヴェロを駆る選手が大活躍し、いくつもの感動を生み出しました。何十台もの自転車(とお金)を提供しているサーヴェロ目線でいえば、プロモーションは大成功。自転車を売るまたとないチャンスなわけです。が、昨今は自転車を売りたくても、そもそも作ることすら困難な状況。僕がメーカーのマーケ担当だったらめちゃくちゃ歯がゆく感じることでしょう。いくら宣伝したところでモノがないんですから。

日本に第一便が入ってくるのは8月中旬ごろでたった8~9台…という数字からもメーカーの苦悩が現れています。ちなみにアジア諸国におけるサーヴェロの売上は日本がナンバーワンとのことですが、その日本ですらこの台数ですからね。

「値段が高い!」には当然理由があるわけですが、ほんと、このおかしな状況は一体いつまで続くのでしょう。むしろこれが業界デフォルトになっていくんでしょうか。そもそも日本の賃金があがらなすぎ…という話もありますが。

そんなことを思いながらS5の新製品説明を聞いておりましたが、そうしたあれこれとモノの良し悪しはまた別のお話。安井が雨上がりの超高湿度のなか、キッチリと試乗してまいりました。S5の試乗記、近日公開予定です。

(栗山)