カメラマン≠フォトグラファー

しつこいと思われようが構わない。常々と言っていることがある。自分の仕事はカメラマンではなくてフォトグラファーだと。

完全に間違いとは言わないけど、英語でカメラマンと言うとどうしても大きなテレビカメラで映像を撮っている人のイメージが浮かんでしまう。自分の仕事は主にスチール写真を撮るフォトグラファーであって、カメラマンと呼ばれても全然しっくりこない。まあしっくりこないだけで別に何と呼ばれようが関係ないし、言葉の定義なんて時代とともに移ろっていくのだけど。

とは言っても「写真を撮る」こと“だけ”にこだわっているわけではなくて、フォトグラファーを名乗りながらも写真撮影以外の仕事も多くなっているのが現実。仕事の多様化についてはまた次の連載で書くとして、今回は主に「写真を撮る」仕事について、その仕組みを書き記していこうと思う。

大原則として、ロードレースを撮るのは面白く、刺激的で、興味深い。サイクルフォトグラファーという響きはなんだか楽しそうだし、実際に世界各国を飛び回るので楽しい。でもそれを仕事にするのはなかなか難しく、軌道に乗せるまでに長い時間がかかった。軌道に乗せる=利益を出す。その謎に包まれた構造を公開するなんて今までしてこなかったけど、他の人(特に下の世代)の参考になればと思い、せっかくの機会なので表に出すことにする。

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