第7ステージ

ツール・ド・フランスの第7ステージ

前には選手たちがいて、その後ろにぴったりと黒くて長いリムジンが着いている。車内にいる男性2人は、2人ともがレジオンドヌールの勲章をつけている。だが運転手は、葬儀人として生計を立てているわけではない。そう、この車は霊柩車ではない。

2台目の車もぴったりとついてきた。黒くて、長い。もし1台目が霊柩車だったら、この2台目の中には、白いサープリスをまとった司祭が乗っていてもおかしくはなさそうだ。

3つめの魚雷のような車には、顔を知られぬよう頭巾をかぶり、フレンツェで葬儀人に借金をしたような、3人のイタリア人告解者たちがいる。4つ目と5つ目のおんぼろ車は、両サイドに不死の色たる黄色の小旗を掲げているのだった。この小旗の上には黒い文字で他に記すことは無いとばかりにこう書かれている。

“Regrets éternels!”(永遠の哀惜を込めて)1この文言は、墓碑銘によく使われるもの。

6番目の車は、ブリュッセルから今まさに来たところ。こんな文字の踊った横断幕を飾り付けている。

“Dernière heure”(最後のひととき)21906年に創刊したベルギーの主要日刊紙。本来は「最新の動向」と言う意味だが、ここではロンドルは死を思わせる一連の流れの中で、「最後のひととき」という意味をその名称に与えている。

続く何台かの車の中には、防塵ゴーグルを忘れた紳士婦人たちが、砂埃に堪えきれずに涙を流していた。これで彼らも我々の仲間入りというわけだ。

おしまいに、交換用のタイヤを何本もぶらさげた謎の車が続いた。まるでこの車の内臓を全部抜き出してしまったかのようだ。

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